こうした機能向上から伺えるのは、スペック上の数字よりもユーザー体験を重視するという、これまでの通りのAppleのスタイルである。実際、スペックを追求することで犠牲になることもある。たとえば画素数が向上すると写真の精細さは増すものの、iPhoneレベルの画面で見る分には800万画素が1,600万画素になったところで違いはわかりにくいし、写真1枚の容量が大きくなってストレージを圧迫してしまう。しかも、小さなイメージセンサーで無理に画素数を増やすことは、実はノイズの増加にもつながってしまうのだ。技術の進歩でそこが解決すれば話は別だが、現状では「画素数を無理に増やさない」という判断は合理的と言える。

ちなみに、じゃあなぜ他のスマートフォンが画素数を増やすのかというと、他の端末と数字で比較されてしまうからだろう。OSレベルでユーザーを囲い込み、十分なブランド力を持っているiPhoneとしては、そこで無理に勝負する必要はないわけだ。

ただ、筆者のようにスペックの向上を楽しみにしている者にとっては、ちょっと物足りない発表だったわけだが……。

なお、発表会を見るまでは「いくらなんでも5.5インチは大きすぎだろう」と思っていた筆者だが、発表会後は「光学式手ぶれ補正」の有無と、バッテリー持続時間の違いから、俄然iPhone6 Plusに惹かれている。使い方にもよるだろうけど、MacBook Airの代用としても考えている身としては今のところ、iPhone6 Plusしかないという感想だ。

Apple Payについては様子見

なお、NFC機能による「Apple Pay」については日本未対応ということもあり、個人的には様子見といったところ。アレは要するに「おサイフケータイ」なわけで、何だかすごく今さら感はあるのだけど、Appleがやるとどうなるのかお手並み拝見である。