海へ山へ出かける季節、音楽がそばにあると場はいっそう盛り上がる。ワイヤレススピーカーに適したシチュエーションだが、水や砂に気を使うようではテンションも下がるというもの。そこに登場したTDK Life on Recordの「Trek Micro A12」は、防塵・防水機能を備えたアウトドア指向のBluetoothスピーカー。2台用意すればステレオスピーカーに早変わりする拡張性も備えた注目機だ。

アウトドアユースに最適の防塵防水性能

Bluetoothの登場により、ワイヤレススピーカーは珍しい存在ではなくなった。当初は音質に難があったり電源にACアダプタが必要だったりと、安かろう悪かろう的な扱いを受けていたものだが、Bluetoothを標準装備するスマートフォンの普及によりワイヤレススピーカーの人気は急上昇。メーカーも積極的に改良を進めた結果、いまや内蔵バッテリー搭載機は当たり前、家中どこへでも持ち運べるように。音質のレベルも向上し、重低音など+αが求められるようになった。

しかし、屋外利用となると話は別だ。防水性能を持つデバイスは珍しくないが、振動板が動かす空気により音を出すスピーカーの場合、完全に密閉するわけにはいかない。防塵機能も同様に、砂やホコリの進入を妨げようとすると音に影響をおよぼす。音質と防塵・防水性を両立させることは、なかなか難しいのだ。

そこに登場した「Trek Micro A12」。一見手のひらサイズのBluetoothスピーカーだが、IECで定められた保護等級「IP64」をクリアする防塵防水性能を持つ。ちなみに、IP64の最初の数字は粉塵が内部に侵入しない保護レベル、2つめの数字はあらゆる方向からの飛沫に対する保護レベルを意味する。砂ぼこりや雨はもちろん、水辺で使用しても問題ない性能といえる。

早速川辺にTrek Micro A12を持ち出し、水しぶきをかけたところ……特に変わりなし。パンチングメタルの穴がところどころ水滴で塞がれるため、音は多少変化するものの、放っておくと乾き元の音に戻る。水没こそさせなかったものの、相当量の水をかけても機能に影響はない。付属のカラビナを使い木の枝にしばしぶら下げておいたところ、水滴は跡も残さず蒸発し、なにもなかったかのよう。屋外でも遠慮なく使えるタフさは、Bluetoothスピーカーにありそうでなかった要素だ。

卵形など丸みを帯びたモノラルBluetoothスピーカーが人気の昨今、どちらかといえば男性向けのイメージで登場したTrek Micro A12。赤/白/黒のカラーバリエーションは少々単調だが、モスグリーンや迷彩色(?)を加えればヘビーデューティーな印象も増そうというもの。後継機の予定があるのならば、ぜひともその路線でお願いしたいところだ。

気軽に屋外へ持ち出せるBluetoothスピーカー『Trek Micro A12』

高い防塵性能を持つため、砂ぼこりの多い場所に置いても問題なし。草むらであればなおのこと問題なし

あらゆる方向からの飛沫に耐えられる防水性能があるので、森林のような場所へも遠慮なしに持ち込める

少々の水しぶきならばだいじょうぶ、水辺でも安心して使える

水道の水を浴びせかけたところ、パンチングメタルの穴がところどころ水滴で塞がれたため一時的に音が変わったが、乾くと元通りに

付属のカラビナを使えば、木の枝にぶら下げて聴くことも。ただし低音の迫力が出ないので念のため

2台「TWS」でステレオ化も

Trek Micro A12のもうひとつの特徴が、「TWS」(True Wireless Stereo)への対応だ。高効率コーデック「aptX」の開発で知られる英CSR社が開発したこの技術は、2台あるBluetooth/A2DPデバイスのうち1台をマスター、もう1台をスレーブとし、左右のオーディオストリームを送信する。Bluetooth/A2DPとの互換性を保ちつつ、独自開発の同期化プロトコルにより遅延のないステレオサウンドを再生するしくみだ。Trek Micro A12を2台用意しなければならないが、Bluetoothで左右分離のフルワイヤレススピーカーが手に入るのだから、ものは考えようだ。

セットアップは「一般的なBluetoothスピーカー+α」と考えればいい。まず1台のTrek Micro A12をiPhoneとペアリングしておき、追加した1台ともども防塵防水端子カバー内側にあるスイッチを「TWS」に切り替える。その後ペアリングしたほうのTrek Micro A12の電源をオン(Bluetoothボタンを軽く押す)、ポンポンと効果音が鳴り出したところで、追加したほうのTrek Micro A12の電源をオンにする。次回以降この作業は不要になるので、特に手間というほどのことはない。

TWSの設定が完了すると、最初の1台(iPhoneとペアリングしたもの)はLEDが白く、追加分は赤く点灯する。あとは好みに応じてレイアウトすればOK、Bluetoothの通信距離(10m)以内であればステレオサウンドを楽しめるのだ。

肝心の音質だが、コンパクトなボディからはうかがえないクリアな音を楽しめる。カラビナでぶら下げているときは迫力に欠けるが、56mmパッシブラジエーターの効果か、安定した場所に置けば低音もしっかりと出る。TWSの効果も大きく、1m以上間を空けたときのステレオ感は他のBluetoothスピーカーでは味わえない。遅延が発生することもないので、「レイアウトフリーな完全ワイヤレスのステレオBluetoothスピーカー」が欲しい向きには有効な選択肢となるはずだ。

Trek Micro A12を2台用意すれば、TWS(True Wireless Stereo)の機能によりステレオサウンドが楽しめる

防塵防水端子カバー内側にあるスイッチを切り替えると、TWSの機能を利用できる

TWSの設定が完了すると、iPhoneとペアリングしたものはLEDが白く、追加分は赤く点灯する

左右のスピーカーはワイヤレス接続されるため、設置は自由。自分のスタイルで楽しみたい

品番 SP-XA500BK(ブラック)、SP-XA500WH(ホワイト)、SP-XA500RD(レッド)、SP-XA500BL(ブルー)
Bluetooth規格 Bluetooth v2.1+EDR
スピーカー 40mmフルレンジ×1、56mmパッシブラジエーター×1
実用最大出力 3W
バッテリー Ni-MH(連続再生最大6時間)
防塵・防水 IP64対応
その他 TWS(True Wiress Streo)対応、NFC対応
サイズ W82.5×W82.5×D29mm
重量 182g
カラー ブラック(A12BK)、ホワイト(A12WH)、レッド(A12RD)
価格 オープン(予想店頭価格:7,480円)
(提供:iPad iPhone Wire)