1つめの質問に対しては明確な回答をはぐらかしたが、2つめの質問に対してCook氏は怒りを隠さずに反論したようだ。まず環境問題について同氏は「こうした問題において投資対効果(ROI)は最重要視されない」としつつ、例えば視覚障害者向けのデバイス開発でROIが重要視されるのかとコメントした。そして「もしROIのみを理由としてわれわれにそのような提案をするのならば、あなた方はApple株を売却して株主を辞めるべきだ」とまくし立てたという。これだけを見ると、なぜCook氏がそこまでROIと環境対策に関する提案でそこまで怒りをあらわにするのか不明だが、NCPPRが石油メジャーらから多額の支援を受けたロビー団体というバックグラウンドがあり、反地球温暖化団体という性格から、Appleの行動を牽制すべく動いているということをCook氏らが把握しており、これに対する明確な拒否反応というわけだ。

NCPPRは過去にも反地球温暖化論を唱え、科学的根拠や分析なしに化石燃料の消費がそのまま地球温暖化に結びつくのは早計との見解を出しているが、こうした活動がグリーンエネルギー推進団体と相性が悪いのは容易に想像がつく。発言の前後の部分が抜けているが、Bloombergが同株主総会のレポートの中でCook氏の「Appleの売上成長率は他のどの技術系企業よりも上回っており、過去どの企業よりも利益を稼ぎ出している。それは生活のために石油を発掘している企業よりもだ。われわれはそれを誇りに思っている」という発言が掲載されており、おそらくはNCPPRに対する回答の一部でこうしたアピールを行っていた可能性がある。

地球温暖化の実際とその原因については諸説あり、現在もまだ論争の元だ。ロビイストというバックグラウンドがあったとしても、NCPPRの活動には一理ある。一方でAppleも「誰よりも環境に優しい」という明確なポリシーを持っている。Appleはこうした環境活動に強い意志を示しており、例えば昨年2013年にはEnvironmental Protection Agency (EPA)の元トップだったLisa Jackson氏を同社に引き入れるなど、対外的にその取り組みをアピールしている。NCPPRの一件は、あまり感情をあらわにしないCook氏の強い意志と、Appleとしての取り組みを改めて示した形となった。