モバイル端末を通じてGoogleがユーザーの日々の生活をアシストしてくれるGoogle Now。自然な話し言葉で音声検索でき、情報がカード形式で表示され、またGoogleがユーザーを知るほど(= Googleにデータを預け、Android端末を使うほど)に、ユーザーが欲している情報を提供してくれる。

Knowledge Graphによるカード形式の情報表示はとても見やすく、ひと目で情報を把握できる。だが、残る2つは「もうすこしがんばりましょう」という感じだ。AppleのSiriだと会話をするように検索を進められるが、Google Nowは質問や操作コマンドのキャッチボールにはならない。カスタマイズ情報は、毎朝の天気を知らせてくれるものの、いまだにサンフランシスコ・ジャイアンツやオークランド・アスレチックスのスコアすら速報してくれない。けっこう使っているつもりなのだが、まだまだGoogleとの関わりが少ないのかもしれない……。

音声検索で、近くにある中華レストランを検索

カレンダーに登録したミーティングの時間が近づくと、場所までの移動時間やルートのカードが登場

Android 4.0が4.1になり、Nexus 7には成熟したタブレットを想像していたが、むしろ次のメジャーリリースに向けて助走を開始したNexusデバイスという印象である。今はまだ、ソフトウエアとサービスの歯車がうまくかみ合っていないように感じるところが多々ある。それはGoogle+やGoogle Playが一般消費者に浸透していないのが理由の一つだろう。Google+やGoogle Playが使われれば、Google+のデータが他のサービスをより便利なものにし、Google Playにコンテンツが増え、それらによってGoogle+やGoogle Play利用者がさらに増える。そんな好循環を生み出すきっかけとして、GoogleはNexus 7を199ドル/249ドルという驚異的に安い価格で投入した。歯車がかみ合い始めたら、Android 5でそれを加速させるのではないだろうか。

ただ、今の雰囲気はAppleがiPodを発売したときに似ている。当時、ハードディスクドライブを搭載したMP3プレーヤーがすでにいくつか存在したが、やはりソフトウエアやサービスとの歯車がかみ合わずに市場を切り開けずにいた。比較的後発の製品だったiPodは、上手く回転させる仕組みを少しずつ作り上げて成功した。前回、Nexus Sに対するレビューが「称賛に次ぐ称賛」と書いたが、いずれのレビューにもAppleの7-8インチタブレットへの期待が記されていた。

だからAppleの秋イベントを待つのが正解と言いたいのではない。今のAppleの7-8インチタブレットへの期待は、ちょっとしたきっかけで小型タブレットが大きな動きに変わりそうなぐらい消費者の期待が満ちていることの裏返しだ。Nexus 7は、AppleやAmazonよりも早く市場に登場した利を活かせるハードウエアと価格である。ただ、ソフトウエアとサービスの勝負の行方はまだまだ混沌としている。

フォントを大きくしてもなめらか、極小サイズにしても読み取れる。動画再生もスムースで、コンテンツを楽しむには申し分ない

Google独自タブレット「Nexus 7」を試す

第1回(外観編) - 199ドルを実現した高性能端末の実力は? (2012年07月30日)
第2回(ソフトウエア編) - Jelly Beanのパフォーマンスは如何に? (2012年08月02日)

(記事提供:AndroWire編集部)