グーグルは7月2日、都内でGoogle I/O 2012に関する記者説明会を開催した。同説明会では同社Webブラウザ「Google Chrome」関連の話題が中心となった。Google I/Oは、同社が年に1度行っている開発者会議。今年は6月27日から29日にかけて米サンフランシスコで行われ、6,000名を越える出席者があったという。

記者説明会の冒頭、実際に開発者会議に参加した同社シニアエンジニアリングマネージャーの及川卓也氏が登壇し、概要説明を行った。インターネットの利用者は世界的に増え続けており、現在は23億人を数えるとも言われている。そうしたなか、ここ数年来Googleではスマートフォンをはじめとするモバイル機器でのインターネット活用に力を入れはじめている。

登壇する及川卓也氏(写真左)。Google I/O 2012では 6,000名を越える出席者が集まり、130を越えるセッションが行われたという

Google Chromeは3年前に「Living on the Web」(ウェブで生活する方々のために)というコンセプトで発表されたブラウザ。現在では3億1,000万人のアクティブユーザーを抱えており、「世界で一番使われているブラウザ」(及川卓也氏 談)に成長したという。

Global Internet TrafficとGlobal Mobile Trafficの推移(写真左)と、Google Chromeブラウザ利用者の推移

2008年のWindows版リリース後、開発を重ねたChrome。現在では複数のデバイスで利用が可能になっている

Android端末向けには2012年2月に「Chrome for Android」として、Beta版が提供開始。6月27日には「安定版」が提供された。Google I/O 2012で初公開となったGoogle Nexus 7およびAndroid OS 4.1以降の端末では、Chromeがデフォルトのブラウザとしてプリインストールされる予定であるという。またiPhone、iPad、iPod Touchでも利用できるようになっている。

Chrome for Androidは2012年2月に「Beta版」が提供開始。6月27日からは「安定版」が利用できるようになった(写真左)

プロダクトマネージャーのバウケンジ氏からは、デモを交えた説明が行われた。デモではまず、PCにインストールしたChromeでログインし行きたいレストランを検索。次にスマートフォンでChormeを開きログインすると、PCで開いたWebページの履歴がそのまま表示された。

プロダクトマネージャーのバウ ケンジ氏(写真左)

スマートフォンで開いたChromeにPCの閲覧履歴が表示された。このように、Chromeの同期機能を利用すれば複数のデバイスでシームレスに情報共有が行える

また検索を行う際も、ユーザーが閲覧する可能性が高いものを判断して検索結果に表示するようになっている。デモでは、iPadのChromeから「東京スカイツリー」を検索しようとした際、はじめの「t」を入力しただけで東京スカイツリーのホームページが候補にあがる様子が確認できた。これは最近、自宅のPCで同ホームページを検索したことがあるため、とのこと。iPadのChromeでは表示したことのないページでも、このように候補の最上位に表示される。

検索バーにtを入力するだけで、候補がリストアップされた

Chromeではブックマークの同期、的確な入力候補の表示、モバイルとの連携などの機能が利用できる

デベロッパーアドボケイトの北村英志氏からは、Google I/Oの基調講演などで紹介されていたChromeの面白い技術について説明があった。PCに搭載されているカメラがユーザーのモーションを取り込み、ブラウザ上でエフェクトをかけて表示するというもので、従来の技術では非常に難しいことだったという。この新技術は、Chromeの発展とWebの標準技術の発展により実現したとのことだった。

登壇し新機能について説明する北村英志氏

リアルタイムで映像を取り込み、エフェクトをかけたものをブラウザに表示させる技術の紹介。雪が頭に降り積もる様子が確認できた(写真右)

水中にいるような歪みで表示されるもの(写真左)、時差をかけて表示されるもの(写真右)なども紹介された

最後に及川卓也氏は「PCやスマートフォンなど、ひとりが複数台のデバイスを持つのが当たり前の時代になった。Googleでは今後とも、パーソナライズされたWeb環境をいつでもどこからでも快適に使えるようにする、という方針でChromeの開発を進めていく」と力強く語った。

「あなたのウェブを、いつでも、どこでも」をキーワードにChromeの開発が進められている

(記事提供: AndroWire編集部)