Androidタブレットの「Kindle Fire」が発売され話題になっている米Amazon.comだが、こんどはスマートフォン市場への参入を目指すことになるのかもしれない。米Citigroupが11月17日(現地時間)に投資家向けに発表したレポートによれば、同社は部品コスト100ドル未満のミッドレンジ向けスマートフォンを2012年第4四半期にも市場投入する計画を進めているという。

同件を報じている米Bloombergによれば、これはCitigroupのアナリストが台湾のサプライチェーンからの情報を基にまとめたもので、プロセッサには米Texas Instruments (TI)、ベースバンドチップには米Qualcomm製のものを採用し、部品コストが100ドルを超えない程度の端末になるという。組み立てを行う提携メーカーには台湾Hon Hai Precision Industry (Foxconn)の名前が挙がっている。なお、採用されるOSについては明記されていない。

情報を総合して判断すると、プロセッサはTIのOMAP4、ベースバンドチップはQualcommのものを採用したことからGSMとCDMAの両モードの通信に対応したスマートフォンになるものと思われる。現在、AppleのiPhone 4Sの部品コストが200ドル前後、ハイエンドのAndroidスマートフォンが250-350ドル程度といわれており、Amazon.comのスマートフォンはそれらと比較して半分から3分の1程度のコストということになる。ターゲットはミッドレンジということもあり、スペック的には内蔵フラッシュメモリのストレージ容量がやや少なめで、プロセッサは現行モデルと同程度か一世代前のハイエンド端末程度のものが採用されることになるだろう。最大のポイントは販売価格で、Kindle Fireが原価200ドル程度と予測されるなかで199ドルの価格で販売されていることを考えれば、同社のスマートフォンもまた100-150ドル程度の赤字覚悟の価格設定が行われることが予想される。Citigroupでは同端末の携帯キャリアへの卸値を170ドル以下と予測しており、これでもライバル製品と比較すれば半分または3分の1程度となる。

OSについては不明だが、Kindle FireがAndroidのカスタマイズ版OSを搭載していることを考えれば、スマートフォンでもまた同様のカスタマイズ版Androidを採用する可能性が高いと考えられる。また売り方についても、携帯キャリアに端末を卸して2年契約つきの0円端末として販売するのか、あるいはKindleのように直販スタイルを採用してユーザー自らが携帯キャリアとの契約を行うのか、このあたりも気になるところだ。いずれにせよ、コンテンツキャリアが携帯ビジネスでどのように台風の目となるのか、注目すべき動きといえるだろう。

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・Amazon、Kindle Fireの次期モデルとして8.9インチ版を検討か - 台湾報道 (2011年11月10日)
http://android.journal.mycom.co.jp/articles/2011/11/10/02/

・米AmazonからAndroidベースのKindleタブレット「Fire」登場 (2011年09月29日)
http://android.journal.mycom.co.jp/articles/2011/09/29/01/