モバイルWiMAXとの大きな違いが基地局の自立分散制御だ。XGPでは端末からの接続要求の度に基地局がキャリアセンスを行い、基地局自身空きチャンネルではなく空間での空きチャンネルを見つけ出し、端末に対して使用するチャンネルを指定して通信を開始する。つまり隣接する基地局間で使用するチャンネルを調停したり基地局を集中制御する事無く、基地局それぞれが単独で他の基地局と電波干渉が発生しないように動作する。このため原則基地局配置は自由であり、既存のPHS基地局をそのまま流用できる。極端な話、現行のPHS基地局のように同じ建物に2つ基地局を設置する事も可能だ。原則として基地局同士で電波干渉が発生しないように基地局レイアウトが必要となるモバイルWiMAXやLTEに対する大きな強みだ。

隣接した位置にあるXGP対応基地局(左)と非対応基地局(右)の比較。XGP対応基地局ではアンテナの一部をXGPと従来のPHSで共有するため、8本のアンテナの内4本には2本のケーブルが接続されているのが分かるだろう(○囲みの中)

XGPの技術に関してはここではこれ以上詳しくは触れないが、端的に言えばWiMAXやLTE同様トレンドの高速無線技術を取り入れつつ、日本、特にトラフィックの集中する都市部での運用に優位性を持つシステムになっているのがXGPだ。またPHSは規格や免許の関係から電波の最大出力は携帯電話の1/10程度で基地局辺りのカバーエリアが制限されたが、XGPではモバイルWiMAXやLTEと同じように1つの基地局で広いカバーエリアを実現する事も可能になる。XGPは「次世代PHS」ではあるが、PHSのネガティブな部分はほぼ払拭された形になっている。

第2次エリアのほぼ全駅で通信速度をチェック

ウィルコムのデモでは受信18Mbpsを記録しているXGPだが、これは屋内に基地局を設置しての話。実利用環境においてどの程度の通信速度となるのか、複数の利用環境で通信速度をチェックしてみた。

試験サービス向けには現在ネットインデックス製の「GX000IN」、NECインフロンティア製の「GX000N」が提供されているが、検証には「GX000IN」を用いた。これは軽くチェックした限りGX000INの方が、接続性が高く通信速度も良好だったからだ。

右がNECインフロンティア製の「GX000N」、左がネットインデックス製の「GX000IN」。どちらもアンテナは自由可動だが、前者は2軸、後者はボールジョイントという点が異なる。どちらもPCカード/CardBus仕様だが、通信カード内にUSBブリッジを持ち通信チップはUSB接続となっているので、USB接続タイプもすぐに準備できるだろう

他の機材としてはノートPCにLenovo ThinkPad T60、OSはWindows XP Professionalを利用。またXGPでは最適となるMTU/RWINなどが明示されているので、TCP/IPの設定をこれに合わせて調整している。比較のためこちらも試験サービス中(7/1に正式サービス開始)のUQ WiMAXのUSB型データ端末「UD01NA」を利用し、それぞれで通信速度の計測を行った。