2300人日のテストをわずか22時間で

そのテスト作業を支えているのが、同社の「インテリジェンスプラットフォーム」(以下、InP)という製品である。

SePにはユーザーのPCにインストールして使用するソフトウェアもある。そのバグを検出するには、やはり実際のユーザーと同じような操作をPC上で行わなければならない。各種のソフトウェアを起動したり、ネットワークにつないだりするのはもちろん、GUIによる操作も行う必要がある。そのため、どうしても手作業でのテストを強いられてしまい、以前は2300人日もの工数をかけて4カ月間にわたり実施していた。

InPは、その作業を効率化すべく開発された、Windows上で動作する"ソフトウェアロボット"だ。ユーザーのGUI操作をイベントドリブンで記録し、まったく同じ処理を短時間で再現することができる。

InPの画面。記録した内容はCSVファイルとして保存され、同ソフトウェアから選択して実行すれば一連の操作が再現される

操作を記録したCSVファイルをExcelで開いた結果。日本のベンダーらしく、操作内容が日本語で保存されている(画像クリックで現れる拡大画面で確認してほしい)。このファイルを編集することで、再現内容を変更することもできる

アプリケーションごとの細かな操作はもちろん、メモ帳からMicrosoft Office Excelへのコピー&ペーストといったアプリケーションまたがりの処理も可能。ドライバのインストール/アンインストールなどで不可避な「OSの再起動」を挟んだ処理も記録/再現できる、という優れものである。

また、記録はイベントベースで行われている。座標を記録するわけではないため、例えばディスプレイの解像度の違いによりアプリケーションの表示場所が変わっても問題なく処理を続行できる。加えて、メールを受信してから処理を再開するといった、環境によってタイミングが変わるような処理も適切に自動実行することが可能だ。

Excelでグラフを作成する再現デモの様子。タイトルの入力から始まっている

マウスを使って行った色選択も問題なく実行

メモ帳からのコピー&ペーストもおてのもの

表の値を反映したグラフが完成。そのほかにもアプリケーションをインストールしてPCを再起動するようなデモも行われた

そのようなInPが誕生した結果、上記の2300人日のテストはわずか22時間で終了するようになったという。

ビジネスシーンに新次元の自動化をもたらす

テスト用ソフトウェアとして開発されたInPだが、プログラムでは実施できない高度なテストを意識したものなだけあり、その応用範囲は非常に広い。

ハミングヘッズでは、GUI操作を伴う自動化しずらかった単純作業を代替するソフトウェアとしてその可能性を探っており、すでに単体での販売も開始している。InP自体は記録した操作を再現するだけのものだが、例えば独自に作成したスクリプトを呼び出す操作をはさむことで、毎回異なった処理を実行させることも可能だ。

高度なレベルの自動化をもたらすInP。ハミングヘッズのWebサイトには活用事例も掲載されているので、興味のある方はご覧になるとよいだろう。