ウィルコムは3日、シンプルな機能でコンパクトな折りたたみ型のPHS「WILLCOM 9(WS018KE)」を7月18日から発売すると発表した。すでに43万台を売り上げたロングセラー端末「9(nine)」の後継シリーズと位置づけられている。

WILLCOM 9

シンプルでミニマムな折りたたみ型「WILLCOM 9」

WILLCOM 9は、「9(nine)」のコンセプトを踏襲し、「本当に必要な機能だけを盛り込んだ」(ブランド&プロダクト企画部長石川俊司氏)シンプルなPHS端末。製造は9(nine)と同じKESだが、デザインはウィルコムが担当。余計なものをそぎ落とし「ミニマムで洗練されたデザイン」(同社)を実現。

9(nine)

こちらがWILLCOM 9

本体サイズは折りたたみ時で約43(W)×80.4(H)×19.4(D)mm、約82gとコンパクト。デザインを担当した堀田峰布子デザインディレクターは、「女性の手の中でしっくりくるフィット感」を目指したという。

折りたたみ型でコンパクトながら、書籍を開く際に指をかける「ネガR」と呼ばれる形状を採用して開けやすさに配慮。開けた時にヒンジが隠れてくの字になるようにしてデザイン性も高めた。

石川俊司部長

堀田峰布子デザインディレクター

本のこの部分を、デザイン業界ではネガRという

同じようなデザインをWILLCOM 9にも導入

ネガRを本体全体にわたって採用

一般的な折り畳み型携帯電話と比べるとサイズの差がよく分かる

ヒンジがキレイなくの字になるのもデザイン上の特徴

ヒンジの形はこんな感じ

本体カラーはブラックとホワイトの2色だが、「長く使ってもらうために」(堀田氏)ソリッドカラーを採用。塗装が削れてもみすぼらしくないという。本体外装と内部でつやを変えるなど「シンプルだがニュアンスがあるようにまとめた」(同)という。

手のひらにすっぽり収まるボディ

開いた状態でもコンパクト

本体側面

本体背面

SIMは本体上部に挿入する

ウィルコムは夏モデルとして、「WILLCOM D4」「WILLCOM 03」といった高機能端末も用意しているが、WILLCOM 9は高機能端末ではなく、「生活に密着した」(石川氏)機能に絞り、「シンプルという価値を提供する」(堀田氏)のがWILLCOM 9だという。

WILLCOM 9の位置づけ

デザイン性が高く機能を絞った9(nine)は、2006年12月の発売から継続して売れ続け、販売数のピークが発売後1年になるなど、通常の携帯電話とは異なる売れ行きを示しているという。WILLCOM 9はその後継とはいえ、「売れ続ける限りは作りたい」(取締役執行役員副社長土橋匡氏)考えだ。

9(nine)の売れ行き

土橋匡副社長

「9(nine)はストレートでシンプルな機種の完成形」と堀田氏。「コンパクトな折りたたみ型をユーザーが選べることが大事」(堀田氏)として、同じコンセプトで作り上げたのがWILLCOM 9だという。

発売は7月18日からで、価格はオープンプライスだが、ウィルコムの直販サイトでは割賦販売による毎月の支払額(2年間)は新規ユーザーで月額400円、機種変更で同600円となる。

待受画面からネットにアクセス「ウィルコム ガジェット」

WILLCOM 9に新たに搭載されるのが、「ウィルコム ガジェット」。待受画面に小さなアプリを表示し、ネット検索などが素早く行える、というもの。WILLCOM 9発売当初、Google検索・Gmail・Googleカレンダー・Google乗換案内、mixi、NAVITIME、デ辞蔵、W+info、世界時計、くーろんの10アプリが提供される。

ウィルコム ガジェット

当初提供されるガジェット

ウィルコム ガジェットを利用するためには、待受画面で上キーを押すと待受画面のガジェットにアクセスできる。例えばGmailでは、待受画面に未読件数が表示され、ガジェットにアクセスすると送信者と件名が確認できる。ここまではあらかじめ受信してあるため通信は発生せず、メールの内容を見ようとするとブラウザが立ち上がり、通信が発生する仕組み。mixiでは、新着メッセージ、新着コメント、マイミクシィ最新日記がチェックできる。

ガジェットを使っている所。赤い枠がついたガジェットが今選択されているもの

これはGmailの例。普段は未読件数を表示し、アクセスすると件名と差出人を表示。この時点ではアクセスは発生しない。その後、メールを読みに行く時にアクセスが発生する

Googleカレンダーでも同様に、詳細を見に行く時になって初めてアクセス

mixiでは、新着コメントやマイミクの最新日記も確認できる

発売当初は上記のガジェットのみだが、今後着メロの検索や日本放送のニュース・番組表を受信するガジェットなども提供予定。

そのほか、WILLCOM 9に搭載されたスロットアクセサリー。3つを選んで自由に組み合わせられる

デコラティブメールでは10のテンプレートを同梱。背景を変えるとイラストが浮かび上がる遊び心も

このガジェットはACCESSの提供する「NetFront Browser Widgets」を利用したもの。同社のWebブラウザNetFrontをベースに、オープンなWeb標準技術を使ったウィジェットを実現したもので、現在ウィジェットのコミュニティサイトのベータ版を公開、Windows Mobile向けにもウィジェット実行環境を提供している。

ウィルコムによれば、ユーザーが自由にガジェットの開発を行えるようにしたいとのことだが、現時点ではセキュリティの問題もあり、端末のどこまでガジェットでアクセスできるようにするかは検討中だという。

特にウィルコム独自仕様は設けていないそうなので、基本的にはNetFront Browser Widgets向けに作成されたウィジェットも利用可能になる見込み。

ウィルコムでは今後発表する音声端末はウィルコム ガジェットに対応させる意向だ。