ポータルサイト運営の中華網科技傘下のオンラインゲーム企業、中華網遊戯(CDC Games)は、2007年に入ってから活発なM&Aを展開してきた。中華網遊戯によるM&Aはこれまで計5件だが、そのうちの3件は今年3月から8月までに行われたものだ。

今年3月、中華網遊戯は韓国の大手オンラインゲーム開発企業のMGame Corporation(以下、MGame)に対する戦略的投資を行い、MGame最大の外部株主となった。

中華網遊戯は2005年7月、MGameからオンラインゲーム「熱血江湖(Yuigang) 」のライセンスを取得し、中国市場に投入した。中華網遊戯は熱血江湖の運営にあたり、中国では初めてとなる「免費遊戯(free-to-play, pay for merchandise、”無料で遊ぶことが可能”の意)」モデルを採用した。ゲーム自体の魅力に同モデルも加え、熱血江湖は中国全土で大人気を博す。今年5月には登録ユーザーが5,000万人を突破し、中華網遊戯のラインアップ中、最も人気の高いゲームとなっている。

その後の戦略的な投資受け入れにより、中華網遊戯はMGameが開発中のMMORPG「風林火山(Win Forest Fire Mountain(WFFM)) 」の中国での独占代理権を獲得した。熱血江湖のライセンス期間も2010年まで延長された。中華網遊戯は戦略的投資を通じて、MGameの1ライセンシーから外部株主へと変貌を遂げ、さらにこのポジションを活用し、開発中のゲームの"青田買い"や人気ゲームライセンスの延長など、収益源の確保に向けた施策を次々に実現してきた。開発能力にやや弱みがあるとされる中華網遊戯にとり、MGameの外部株主になったことは、開発能力を強化させる上で大きな効果があったものと考えられる。

「XNet」買収でグローバル市場への足がかりに

さらに今年7月、中華網遊戯は投資持株会社中信泰富(CITIC Pacific)のオンラインゲーム部門、光通(OPTIC)を買収した。光通は、中国のオンラインゲーム業界では著名ブランドの1つ。傘下に「神泣(SHAIYA)」「伝奇3(MIRIII)」「EVE」など数本の人気ゲームを擁し、4,300万人もの登録ユーザーを抱えている。現在も光通のゲームは「光通ブランド」のまま運営され、中華網遊戯の人気ゲームプラットフォームとなっている。中華網遊戯は買収を通じ、光通のMMORPG運営技術とノウハウを吸収した。

光通買収の翌月となる8月には、中華網遊戯はオンラインゲーム企業北京侠客行網絡技術(以下、XNet)に資本参加すると公表した。XNetは、中国ではオンラインゲーム開発企業の先駆けで、とくに3Dオンラインゲームエンジンとツール開発には定評がある。Xnetが開発した中国語版Multi-User Dungeonゲーム「侠客天下」は大成功を収めた。XNetは目下、「バーチャルオリンピック博物館」と「2008北京奥運会(2008北京五輪)」の開発に取り組んでいる。中華網遊戯は資本参加を通じ、XNetの先端技術と開発能力を手に入れた。また、XNetが開発するゲームのグローバルな運営権は中華網遊戯に与えられている。これは、オリジナルゲームでグローバル市場におけるシェアを確保したい中華網遊戯にとり、重要な意味を持つ。