TBSは2005年5月、敵対的買収への防御策を設けている。同社株を買い進められ、持ち株比率が20%を超えた場合、第三者割当により日興プリンシパル・インベストメンツに新株予約権を発行、新株予約権の行使で、買収者の持ち株比率を下げ対抗する仕組みだった。

しかし、2007年2月末、TBSは敵対的買収防衛策を改める方針を示した。三木谷会長が信託をやめる考えを示した直後だ。新たな防衛策は、同社の発行済み株式の20%以上を取得しようとする買収者、グループが現れた場合、買収目的などについての情報提供を要求、取締役会、企業価値評価特別委員会がその情報を検討、企業価値を損なう可能性があると判断すれば、対抗措置として新株予約権の無償割り当てなどを行う。

両者の提携に向けての協議は、次の局面を迎えることになる。

三木谷社長は「インターネットと放送の融合」を前進させたい意向を変えていない。だが、両者の「和解」から1年4カ月あまりが経過したにもかかわらず、提携についての交渉は進んでいない。

今回の楽天の施策は、この状況の打開を狙ったものだろう。同社はTBSの「新買収防衛策」について「取締役会の裁量が過大である等の点から、本来自由であるべき上場会社の株式取得に対して余りに過大な規制を課すもの」と異論を唱えている。さらに三木谷社長を社外取締役にするよう提案している。

ライブドアとフジテレビとの「攻防戦」以来、放送事業者側は、IT企業側からの「提案」に神経をとがらせている。楽天の今回の意向に対し、TBSが警戒感を強めるのは必至だろう。同社が防衛策を発動するかどうかはまだわからないが、両者の間柄は、一気に厳しい対立関係になることも予想される。