【背景】

一部のプログラムやコンポーネントには、インストールする環境に条件がつくことがあります。たとえば「.Net Framework」や「JRE(JAVA Runtime Environment)」などは、バージョンが異なると動作しないアプリケーションが多いにもかかわらず、一定の順序でなければインストールできないケースや、詳細な設定が必要なケースがあるため、PC操作に詳しくないユーザを混乱させるだけでなく、情報システム部門にとってもやっかいな管理対象となっています……。

<想定企業>
電子部品製造業S社(従業員数:4,000名)

課題・問題

クライアントソフト入れ替えに難航、手順書はまったく役に立たず……

各種電子デバイスの開発、生産、販売を手掛けるS社は、全国に支社・営業所など多数の拠点を展開しています。このほど同社では、基幹システムのリプレイスにより、クライアントソフト等を入れ替える必要が発生しました。

対象となるPCは30拠点に分散した約500台。今回の作業は手順が複雑なため、プロジェクトの主導役を担う情報システム課では、まず一部の社員50名を対象に、試験的に作業を指示しました。ところが翌日以降、「インストールができない」、「システムにつながらない」といった問い合わせが殺到することに。

寄せられたトラブル内容を確認していくと、実行環境が異なっていたり、設定やインストールの順番が間違っているなど、ほとんどが社員のオペレーションに起因するものであることが判明しました。S社経理部情報システム課マネージャーK氏はこう語ります。

「複雑な手順や設定方法については事前に手順書を配布したのですが、うまくいきませんでした。このような状況では全拠点で作業が順調に進むとは思えず、スタッフ全員で頭を抱えてしまいました」

作業の自動化を図るが、複雑なインストール作業の自動化に適したツールが見つからない

従業員のPCスキルに頼ることができないと分かった以上、作業の自動化が必要と判断したK氏は、基幹システムを開発した業者にこうした問題を相談し、「IT資産管理ツールを利用すれば管理者主導でインストール作業を行える」という話を聞きます。

「スタッフ全員で手分けしていろいろなツールの情報を収集したのですが、今回のケースではインストールする順番が決まっているうえに、設定ファイルの変更、さらに途中で再起動も発生するため、なかなかいいツールが見つかりませんでした」(K氏)

課題・問題のポイント

■30拠点/500台のPCに対し、複雑なインストール作業が必要に
■一部の社員を対象に試験的にインストール作業を試みたがトラブル多発
■管理者主導でインストール作業を行うために最適なツールが見つからない