【専門家監修】土地なしで駐車場経営は可能?所有してない場合の経営手順やコツを解説

昨今、安定した収益を得ることができる投資方法として、駐車場経営が注目を集めています。管理が簡単で、初期費用が少額で済むことから、投資初心者にも挑戦しやすい不動産投資の方法です。

しかし、いざ駐車場経営について調べてみると、土地を所有していることを前提として営業している企業や、解説している記事も多く、「土地を所有していないと駐車場投資はできないの?」と疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、土地なしでも駐車場経営は可能です。

借りた土地や購入した土地で利益をあげている人も多くいます。この記事では、土地を所有していないケースでの駐車場経営の手順やコツを解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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監修者_nishizaki
本記事の監修者 
西崎洋一/宅地建物取引士     
宅地建物取引士・管理業務主任者・不動産コンサルタント・不動産プロデューサー。不動産業界10年以上の専門家。物件調査、重説作成・説明などの実務経験が豊富。特に土地の売買、マンション管理に精通。大阪を中心に活動を行っている。
目次

土地なしの状態から駐車場経営を行う方法

土地を所有しているなら、土地を舗装して必要な機材を導入したり、工事をおこなったりして、駐車場として運用を始めることができます。土地を持っていない場合には、土地を借りるか購入することから始めなくてはなりません。

土地を借りる場合と購入する場合に分けて、それぞれのメリットやデメリットを見ていきましょう。

土地を借りて駐車場経営を行う

賃貸市場に出ている土地を利用して、駐車場として運営することができます。

駐車場として貸し出している土地はもちろんですが、更地として貸し出している土地を、所有者の許可を得て駐車場として運用する方法もあります。また、土地を持っている人に賃貸の交渉を持ち掛けることも可能です。

他にも、企業として土地を貸し出し、経営するオーナーを募って、駐車場の売上の一部や賃料を得る事業をおこなっている業者なども存在するなど、駐車場経営は多様化が進んでいます。

ローンを借り入れる必要がないので、初期費用として用意できる自己資金が少なくても始めやすいことが特徴的です。

また、低コストで始められる、もしも経営に失敗してしまったとしても撤退がしやすい、という理由からローリスクである点も魅力的でしょう。

土地を借りて駐車場経営を行うメリット・デメリット

メリット

  • 自己資金がなくても始められる
  • 利用者がいなくてもリスクが少ない
  • 事業撤退もしやすい

デメリット

  • 賃料が毎月かかってくる
  • 長期的に運用していると購入よりもお金がかかる

土地を購入して駐車場経営を行う

売りに出されている土地を購入し、経営する方法を選ぶこともできます。

駐車場として使われていた土地を購入することもできますが、場合によっては建物付きの土地を選んで、取り壊して舗装したほうが安く済む可能性もあります。

土地を購入する場合には、ある程度の自己資金を用意しなければなりません。しかし、一度払い終えてしまえば自分の資産となるため、長期間運用していくのであれば、維持費用を少なくすることができて有益です。

自己資金が潤沢で、資産形成を目的としているようなら、土地を購入してしまったほうが良いでしょう。また、資産を土地に変えることができるため、相続税対策として駐車場経営をおこなう人も少なくありません。

土地を購入して駐車場経営を行うメリット・デメリット

メリット

  • 長期間の運用で有利になる
  • 資産形成に向いている
  • 収益のすべてが自分のものになる

デメリット

  • 初期費用が多くかかる
  • 利回りが悪くなりやすい
  • 事業撤退が困難
西崎さん

駐車場運営は、資産を長期的に運用したい場合に適しています。

駐車場経営で土地を購入することについて、詳細に知りたい人はこちらをご覧ください。

土地なしの状態で駐車場を経営するときの形態

駐車場を経営するにあたって、どのような形で経営するかを選択しなければなりません。自分だけでおこなうか、駐車場経営をしている企業と協力するか、自分の状況にあったスタイルを選ぶことが成功につながります。

駐車場経営会社に全面委任する

駐車場の管理や運営をおこなう会社に全て委託してしまうと、利益は少なくなってしまうものの、土地さえ用意して契約を結んでしまえば、その後は自分で管理する必要がないので手間がかかりません。

大抵の場合は、管理費や利益の一部を差し引かれて、自分に入ってくる収益は実際の半額ほどになってしまうこともあります。企業が運営するため初心者でも失敗する可能性が低く、リスクが少ないことが魅力的です。

以下は会社に全面委託する場合の手順です。

  • 企業に相談する
  • 企業が土地の調査、見積もりを出す
  • 経営契約を結ぶ
  • 舗装工事をおこなう
  • 駐車場として営業開始
  • 企業が定期的にメンテナンス・運営

この場合、実際に自分でおこなわなければならないのは契約を結ぶところまでで、後はすべて業者に任せきりにしてしまって構いません。

副収入として駐車場経営をおこないたい場合など、管理に時間を割けないならこういった形態を選びましょう。

自分自身で経営する

経営形態のなかでも、一番利益が大きいのが自分自身で管理・経営をおこなう方法でしょう。

管理する会社に支払う金額がないため、すべて自分の利益とすることができるのは大きなメリットと言えます。ただし、工事費や駐車機材の設置など初期投資額も大きく時間も要するため注意が必要です。

初期費用として必要になる主な経費を下記にまとめましたので参考になさってください。

費用項目価格相場
砕石敷き3,000円/㎡
アスファルト舗装5,000円/㎡
コンクリート舗装8,000円/㎡
区画ライン引き60,000円/10台
車止めブロック3,500円/1台
区間用ロープ40円/m
駐車場番号表記700円/台
歩道縁石の切り下げ工事50万円~
コインパーキング機器300万円/10台

参考:不動産がもっと楽しくなるメディアMIRAIMO「駐車場経営にかかる初期費用はいくら?タイプ・業種別一覧表

企業と共同で経営する

自分で管理・運営するのはとても困難です。定期的なメンテナンスも自分でおこなわなければならず、加えて駐車場は24時間営業するため、個人で経営していると夜中にトラブル対応に追われてしまうこともあります。

そこで、駐車場として土地を作り替えるところまでは個人でおこない、その後のメンテナンス作業やトラブル対応に関しては企業に委託するという考え方があります。

遠方に駐車場を設けた場合や、他に事業をしていて管理するのが難しい場合、管理を委託することができれば非常に便利でしょう。

この場合、個人で用意しなければならないものは以下の通りです。

  • 道路の舗装、切り下げ工事費
  • 区画ライン設備費
  • 車止めブロック設置費
  • 駐車機材の設置費
  • 照明・看板費

このように管理委託の場合には、土地の広さや駐車場の種類によっても異なりますが、300~400万円程度の初期費用が必要になると考えておくと良いでしょう。

西崎さん

経営は常に判断が求められます。いずれの形態でも、判断力を培いましょう。

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土地なしの状態から駐車場経営を始めるまでの流れ

土地がない状態から駐車場として運営を始めるまでの一連の流れを解説します。以下のような手順を踏んでいくとスムーズに進むでしょう。

  • 駐車場にする土地探しを始める
  • 土地台帳を閲覧して所有者を調べる
  • 所有者と交渉・契約を結ぶ
  • 監理と運営を任せる会社を選ぶ

駐車場にする土地探しを始める

まずは土地を探すことから始めましょう。購入や賃貸を考えていた土地があるなら、その土地が駐車場に向いているのかどうかをしっかりと調査しましょう。どのような土地が駐車場に向いているのかについては、後述しますので参考になさってください。

欲しい土地に見当がついていない場合は、ネットで探すこともできます。その場合には、「駐車場」というキーワードで絞って探すよりも、更地として広範囲で探すほうが、安価な土地を見つけやすいのでおすすめです。

また、行ったことがない土地よりも見知った土地である方がネットでも需要があるかどうか想像しやすいでしょう。

一括査定サイトで土地の価格を調べる

利用したい土地が見つかったら、チラシ等に掲載された仲介業を担う不動産会社に問い合わせて価格を聞いたり、ホームページを閲覧して価格を確認しましょう。

市場に出ているかわからない土地の場合は、不動産会社の一括査定サイトを利用してどのくらいの価値がある土地なのか、いくらで購入することができるのかを確認しましょう。

いくつか候補の土地を絞って、複数の土地を査定に出し、査定価格を見ながらどの土地を選ぶか判断するのも手段のひとつです。

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その他の一括査定サイトや選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

土地台帳を閲覧して所有者を調べる

利用したい土地が決まったら、土地台帳を閲覧してその土地の所有者や情報を調べましょう。土地台帳は市町村の法務局や市役所で請求することができます。

もちろん市場に出ている土地であれば、不動産会社に問い合わせて直接交渉に進むこともできます。

市町村によっても異なりますが、300~500円程度の手数料がかかる可能性や、事前申請が必要な場合もあるため、所轄の市町村のホームページなどで確認しておきましょう。

所有者と交渉・契約を結ぶ

土地台帳を見て所有者がわかったら、実際に交渉をおこないましょう。個人で交渉するとトラブルに発展することも多いので、一般的には不動産会社などの仲介を通しておこないます。

事前に一括査定サービスなどで調べた購入価格の相場や、借地料の相場のデータを持っておくと、交渉に自信を持って進むことができることに加えて、不当な取引に応じてしまうことを避けることができて安心です。

互いに合意できたら、売買契約や賃貸契約を締結します。

借地料の相場を調べる方法の詳細はこちらの記事もおすすめです。

管理と運営を任せる会社を選ぶ

土地の所有者と売買契約や賃貸契約を結んだら、運営形態を選択します。自分自身で管理・運営をおこなう場合はそのまま経営に進んでいきますが、委託する場合にはその会社を選ぶステップに進みましょう。

大切な土地を運営してもらい、その後長くパートナーとして付き合っていく会社ですから、複数の会社を比較しながら慎重に選ぶことが大切です。価格だけでなく、運営実績や担当者の対応や力量も基準にいれて比較しましょう。

西崎さん

資金力の有無で、買うか借りるかがおおよそ決まります。

駐車場経営の始め方について、詳細に知りたい人はこちらをご覧ください。

土地なしの駐車場経営を成功させるためのポイント

実際に投資を始める前に、土地を持っていない状態から駐車場の経営を成功に導くためのポイントを確認しておきましょう。ここでは駐車場の2つの形態、コインパーキングと月極駐車場のパターンに分けて解説します。

コインパーキングの場合

コインパーキングの最大の特徴は、不特定多数による短期間利用が多いという点です。つまり、コインパーキングで利益を得るには稼働率を上げることが最も大切になります。

コインパーキングに適した土地を選ぶことを前提として、他にもいくつか稼働率を良くするためのポイントがあります。以下のように、顧客がその駐車場を見つけやすいことや、利用しやすいことを意識したサービスを心掛けましょう。

  • インターネットやSNSを活用する
  • ポイントなど利用しやすいサービスの提供
  • キャッシュレスに対応した機械の導入

競合がいることも多いので、サービスの充実度は顧客数に大きく影響します。なるべく最新の機器を導入し、利用者が安心して利用できるように工夫しましょう。

月極駐車場の場合

月極の駐車場は、契約さえ取れれば定期的に安定した収益を得ることができることが魅力的です。

しかし、契約が取れなければ一時的な利用もないため、空いたまま維持費だけがかかってしまいます。月極駐車場を運営するなら、契約率を高く保ち、維持コストを下げることが大切です。

契約率を上げ、コストを下げるためのポイントは次の通りです。

  • 定期的な利用が見込まれる地域を選ぶ
  • 出来る部分は自分で管理する
  • 優良な管理委託業者を選んで契約する
西崎さん

大手のパーキング業者は月極駐車場へのノウハウもありますので、そういった業者にまず相談すると良いでしょう。

駐車場経営の基本知識について、詳細に知りたい人はこちらをご覧ください。

駐車場経営に適した土地の選び方

駐車場経営が成功するか否かは、駐車場需要が高い土地を選ぶことが大前提です。では、どのような土地が駐車場に向いていると言えるでしょうか。

人が集まる場所の近くにある

人が集まる場所には駐車場のニーズが高くなる傾向があります。

例えば、ショッピングモールやスーパーなどの商業施設の近くは、その施設を利用する人がコインパーキングを求めていることが多いため利用が見込まれます。特にその店舗に併設する駐車場がない場合は需要が高いでしょう。

また、学校や商社ビル、駅などの交通機関、住宅密集地などは定期的なニーズがあるため、月極駐車場を設置すると契約率が高くなるでしょう。

駐車禁止のエリア付近

駐車禁止に指定されているエリアでは、急に止めたいと思っても止められないため、ある程度駐車場の需要が生まれます。

幅が狭く停車できない道路の近くや、警察による路上駐車の取り締まりが強化されているエリアを狙うと、稼働率が高くなるでしょう。

こういった土地を選んでも、あまりに狭い土地や駐車のしづらい土地では顧客を見込むことはできないため注意しましょう。

西崎さん

ユーザー目線で考えると、おのずとニーズの有無が見えてきますよ。

土地活用としての駐車所経営について、詳細に知りたい人はこちらをご覧ください。

土地なしで駐車場経営を始めるときの注意点

最後に、土地を手に入れるところから始める駐車場経営において、注意していただきたい点を2つご紹介します。

土地購入で銀行から融資を受けるのは難しい

駐車場経営は、その他の投資と比べて収益が少ない投資です。そのため、駐車場として運用するために土地を購入すると言っても、金融機関から融資を受けられない恐れがあります。

住宅用に土地を購入する際には、ローンを組むことが一般的ですが、駐車場経営のための土地購入では、全額自分で負担することも多いです。

そのような点からも、土地なしで駐車場経営をおこなう場合、潤沢な資金がない場合は土地を借りておこなう方が賢明でしょう。

駐車場として利用していた土地の売却は難しい

駐車場として需要が高い土地は、住宅地など他の方法で利用できない格安の土地であることも多いです。駐車場として運用するために購入する際にはありがたいですが、いつか売却するとなったときに思うような値段がつかない場合や、買い手が現れない恐れがあります。

また、駐車場としてコンクリート舗装工事を一度おこなってしまうと、元の更地に戻すにも費用がかかってしまいます。宅地などに転用して売却するとしても、多額のコストが必要になるのです。

土地を購入する際には、こういったリスクも考えて慎重に判断しましょう。

西崎さん

おすすめは、まず自分自身で管理運営すること。管理委託はそれが難しいと判ってからでも遅くありません。

駐車場経営の失敗例について、詳細に知りたい人はこちらをご覧ください。

まとめ

駐車場経営は土地を手に入れるところから始めても、充分に初期費用の回収を期待できる投資方法です。

もともと所有している土地を駐車場として作り替えて運営する場合、自分自身で管理運営するか、業者に管理を任せるかどうか、主に2つの選択肢から選択します。

対して土地を持たず経営をスタートさせる場合には、土地を購入するのか賃貸するのか、経営形態はどうするのかなど、より幅広い選択肢から自分に合ったものを選ぶことができます。

正確な知識を身に付けるだけでなく、注意点を押さえながら、慎重に判断して駐車場経営を成功へ誘導しましょう。

※「マイナビニュース土地活用・不動産投資」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
https://www.fsa.go.jp/news/30/20190328_summary.PDF
https://www.fsa.go.jp/news/r4/kokyakuhoni/20230120/kpi_toushin_230120.pdf
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law1.html
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001411696.pdf
https://www.fsa.go.jp/

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監修者_nishizaki
本記事の監修者 
西崎洋一/宅地建物取引士     
宅地建物取引士・管理業務主任者・不動産コンサルタント・不動産プロデューサー。不動産業界10年以上の専門家。物件調査、重説作成・説明などの実務経験が豊富。特に土地の売買、マンション管理に精通。大阪を中心に活動を行っている。

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