マイナビニュースマイナビ

ゴンチャ ジャパン 原田泳幸氏が説く、デジタル化時代における「経営の在り方」

[2021/01/06 09:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

「明日を予見する力」で差がつくデジタルビジネス

また、同氏曰く「(改革と変革において)重要なのは”経営ダッシュボード”」だと言う。ただし、経営者はただダッシュボードを眺めるだけでは務まらない。データの裏にあるビジネスインサイトやコンシューマーインサイトを見抜く力がなければ、経営力を高め競争に打ち勝つことはできないのだ。

では具体的にダッシュボード管理の目的とは何か。

まずは「戦略的事業計画達成のための主要KPIトラッキング」である。データを見るだけでなく、商品ごとや地域ごとなどにスライスして見ていくことが重要だと原田氏は説明する。

「スライスすればするほどデータの中身がわかり、ビジネスインサイトを深化できるのです」

さらにKPIは個別に見るのではなく、組織間の連動という観点で見なければならない。例えば、人の採用や店舗の拡大などは個別のKPIで見がちだが、本来は連動して動いていくべきものである。「各要素のバランスが崩れると業績不振になりかねない。マクドナルドの歴史が証明している」と原田氏は言う。

「ビジネスにおいて売上は結果です。売上以上に、明日を予見し、必要な施策を実行することが重要なのです。無駄な経営資源を削減し、コスト構造が顧客価値につながっているかを確認しましょう。つながっていないなら、そのコスト構造は徹底的に削減しなければなりません」

「明日を予見する力」で大きな差がつくのがデジタルビジネスだ。2004年にマクドナルドの社長に就任した原田氏は、当時1つの資料を作り、社員に提示した。そこにはモバイルが今後の社会の鍵になっていくこと、キャッシュレスやデジタルクーポン、プリオーダーの時代がやってくることが書かれていたという。

果たして時代はその通りになった。原田氏の予見に基づいてマクドナルドは早期からデジタルビジネスを展開し、V字回復を成し遂げた。デジタルによる変革を予見し、いち早く必要な施策を打ったことが勝因となったのである。

ビジネスに欠かせないテクノロジー活用の視点

現在、原田氏はゴンチャジャパンの代表を務めながらさまざまなITベンチャーの支援も行っている。講演では、そのなかからテクノロジーを活用したサービスが紹介された。

例えば、ベアーズが提供する「MAUCHI」は10分500円など短時間/低価格で利用できる”暮らしインフラ”サービスだ。大型マンションに専門スタッフが常駐し、アプリを介して家事代行やハウスクリーニング、洗濯代行、家電レンタルといったさまざまな家事サポートを提供する。機械学習によって、顧客のニーズやライフスタイルに合わせた最適なメニューを提案するのが特徴となっている。

続いて紹介されたのが、Truffle Technologiesが提供する飲食店向け採用アプリ「Truffle AI」だ。これまで、飲食店のアルバイト採用などではマッチングの問題があり、なかなか人材が見つからないわりに採用コストがかかるという課題があった。Truffle AIでは、飲食店を訪れた顧客がトイレなどに貼られたアルバイト募集の告知を見て興味を持つことが多い点に着目。店内に面接応募用のQRコードを設置しておき、興味を持った顧客がスマホカメラで読み取ると、チャットボットが応募プロセスをスタートすると同時に店長に通知が届く仕組みになっている。「シンプルな仕組みだが、デジタルだからこそのソリューション」と原田氏は称賛する。

ビーコンを活用した取り組みとして紹介されたのが、unerryのビーコンシェアプラットフォーム「Beacon Bank」である。ビーコンとは小さなチップを公共物などに設置し、スマートフォンと連動して行動分析を行う仕組みのこと。Beacon Bankでは、通常企業各社が個別に管理するビーコン情報を一括管理することで相互利用を可能にしており、誰でも手軽にビーコンサービスを展開できるという。

こうした最新テクノロジーを活用したビジネスはもちろんだが、それ以外のビジネスであっても、業務の各所において今やデジタルの活用は欠かせない。マーケティングはその最たるものだろう。

原田氏はデジタルマーケティングの重要な視点として、次の5点を挙げる。

  • 「顧客価値向上につながるマーケティング」であること
  • 「顧客の利便性をデジタルで向上」させること
  • 「顧客の可処分時間の価値を向上」させること
  • 「顧客の賢い購買を支援する」こと
  • 顧客一人一人に対して「個別対応」すること

これまでに多くの企業の業績をV字回復させてきた原田氏だが、そこに魔法はない。社員や株主、社会全体といったステークホルダーの価値向上を常に一番に考え、未来を見据えて”らしさ”を大切に経営を行ってきた結果である。

原田氏が講演で示したのは、デジタル化時代においても決して揺るがない”経営の基本”なのだ。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

もっと知りたい!こちらもオススメ

なぜ日本はテクノロジーを活用できていないのか? 夏野剛氏が語る、DXの未来

なぜ日本はテクノロジーを活用できていないのか? 夏野剛氏が語る、DXの未来

新型コロナウイルス感染症の拡大は、あらゆる分野/業界にデジタル化の波をもたらした一方で、デジタル化における課題も浮き彫りにした。急速な外的変化に対応するために、私たちはテクノロジーとどう向き合っていくべきなのだろうか。12月3日に開催された「マイナビニュースフォーラム 2020 Winter for データ活用」で、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 …

関連リンク

この記事に興味を持ったら"いいね!"を Click
Facebook で TECH+ の人気記事をお届けします
注目の特集/連載
[解説動画] Googleアナリティクス分析&活用講座 - Webサイト改善の正しい考え方
Google Workspaceをビジネスで活用する
ニューノーマル時代のオウンドメディア戦略
ミッションステートメント
次世代YouTubeクリエイターの成長戦略
教えてカナコさん! これならわかるAI入門
AWSではじめる機械学習 ~サービスを知り、実装を学ぶ~
Kubernetes入門
SAFeでつくる「DXに強い組織」~企業の課題を解決する13のアプローチ~
AWSで作るマイクロサービス
マイナビニュース スペシャルセミナー 講演レポート/当日講演資料 まとめ
セキュリティアワード特設ページ

一覧はこちら

今注目のIT用語の意味を事典でチェック!

一覧はこちら

会員登録(無料)

ページの先頭に戻る