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コロナ禍で加速した構造的変化についていけない企業が抱える「致命的な問題」とは

[2020/12/24 08:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

「うまくいっていない企業」が抱える3つの課題

では、具体的にうまくいっていない企業の課題を見ていこう。志水氏が挙げるのは次の3点だ。

雑なコミュニケーション

社員に対するコミュニケーションが雑。志水氏曰く「例えば欧米型の評価制度を入れたにも関わらず、評価の結果や理由を本人に伝えていない企業が存在する。評価結果を伝える面談や1 on 1は社員のモチベーションを高め、エンゲージメントを引き出す最高の機会であるにも関わらず、それを活用できていない。一番重要な点をおろそかにするのでは制度を入れても意味がない。全般的に社員に対して丁寧なコミュニケーションができていないことが多いことをまず、認識すべき」だという。

「欧米ではコミュニケーションの専門部隊を人事に置いている企業がほとんどです。どうすれば組織の外にいる顧客やステークホルダーと同じように、大切な社員を『エンゲージ』する丁寧なコミュニケーションができるのか俯瞰して考えてみてください」

過剰な管理監督

「過剰な管理監督は社員の自律や主体性を阻む」と志水氏は断言する。

同氏がテレワークについて人事や経営者と話すと、「家で本当に仕事をしているか、サボっていないかをモニタリングする仕組みはないか」と聞かれることも少なくないという。だが、「家でサボる人は会社でも家でもサボる」のだ。あらかじめ達成すべき成果をきちんとすり合わせたら、やり方は社員に委ねる必要がある。信頼して任せることはモチベーション理論的にも明らかになっている。

こうしたことを踏まえ、志水氏は「社員を全面的に信頼してください」と呼びかけた。

個人に決定権/裁量が少ない

社員には決定権や裁量がなく、会社が決めた通りに行動することが求められる。マネジャーの主要業務が管理監督になっている。この点にも、志水氏は「社員を子供扱いしていないか?」と疑問を投げかける。

「なぜ朝9時にきて18時に帰らないといけないのか?全員一斉の制度で選択しがないのか?私は以前、前職でスーパーフレックスを導入しました。何時に出社して帰社してもいい、どこで働いてもいいという制度です。会社が期待する成果を上げてくれれば、それを達成する方法は社員に委ねていました。実際に導入してみると、生産性は4割も向上し、社員の満足度、そしてエンゲージメントも向上しました」

変化に対応できる組織になるために必要な「5つのポイント」

では、組織を真に変革し、これからの時代の変化に対応できる組織になるためには何が必要なのか。志水氏は、次の5つのポイントを挙げる。

主体性、自律を促すための制度

「欧米型の人事制度を取り入れたとしても、例えば『年功部分は維持され、若手社員は部長や役員などの上位管理職になれない』といったことが変えられないなら導入しても意味がないのでは」と志水氏は指摘する。重要なのは、社員が仕事を主体的に選べることであり、自分の働き方を決めること、そして成果をどのように発揮するのか、選択できる機会を増やすことである。そして年齢や勤続年数、属性などを問わず、成果が出た場合にはしっかりと報いて賞賛することが必要だ。

「さまざまな制度や仕組みは、社員の優れた成果を促進し、個人と組織の成長を可能にするためにあることを思い出してほしいと思います」(志水氏)

フラットで丁寧なコミュニケーション

志水氏がうまくいっていない企業の課題としても挙げた雑なコミュニケーションの問題は、どんな企業でも解消しておく必要がある。ポイントは”フラット”であること。指示や命令ではなく、オープンでフラット(対等)にコミュニケーションをとり、職場や仕事の課題を主体的に解決できるように導いたり、メンバーの固有のアイデアを引き出したりするようなコミュニケーションが望ましい。1on 1などを設計する場合にはこの点を考慮する。

シェアードリーダーシップを醸成

変化のスピードが劇的に加速し、先が予測できない中で社会課題はますます複雑化している。予期せぬ問題が発生することも多々ある。組織のトップが1人で解決することはもはや困難だ。トップのみならず、組織の一人一人が専門性を活かし、リーダーシップを発揮できる組織をつくることがこれからは重要になる。

学びや成長の機会 - サードプレイスの設置

「サードプレイス」とは、家庭(第1の場)でも職場(第2の場)でもない第3の場所のことを指す。ここでは、「社内の他部門や組織の外のコミュニティなど職場/家庭以外の場所。参加者が主役であり、人間関係が対等(地位や年齢が関係ない)で言いたいことが言える場所」を意味する。志水氏は「異なるバックグランドを持つ人たちと交流し、議論することで知識や新しい価値観が創造される」と説明する。

「スタートアップなどでは、組織がまだ小さく、主体的に課題を解決することが一人一人に要求されるため、自然とできていることが多いかもしれません。業務が細分化されている大企業でも、普段の職場ではつながれない他部門の人と協働で取り組めるプロジェクトや仕事をデザインする、組織の外に出て異質な人たちと繋がる機会をつくるなどサードプレイスの設計は可能です。こういった社内外の場をつくり、外部との接点が増える仕掛けをつくることが、新しい時代の人事の役割になるでしょう」

個人の働く意義、やりがい

テクノロジーがさらに進化すると、多くの業務がロボットやAIに代替される。そうなったとき、人間は何をするべきか、社会のために何ができるのか、人間を中心に置いて考えることがますます大切だと志水氏は強調する。自分の仕事がやりたいことや目標に結び付くことで、モチベーションが上がるのだ。

キャリアを考えるときに何を重視するべきか?

個人が自身のキャリアを考える際、基準になるのが「Want(意欲/意思)」と「Can(能力/スキル)」と「Need(求められる役割)」の3つである。通常、人はこの3つの要素を組み合わせて仕事を選んでいく。

志水氏はその中でも特に「Want」を重視し、さらに「どうありたいのか」という自分の「Will(意思)」を付け加えて考えるべきだと主張する。

「どうすれば自分の働きがいを得られるのか。”Will”に自分のエネルギーやリソースを捧げてほしいと思います。自分のWant/Willが満たされていれば、困難なことが起きても人は立ち上がれます。レジリエンス(しなやかに回復する力)が高まるのです」

近年、注目されている言葉に「Wellbeing」がある。「幸福」という意味だが、「Happy」とは少しニュアンスが異なる。Happyが一次的な幸せなのに対して、Wellbeingは持続的な幸せを指す言葉である。

HappyからWellbeingへ――それが志水氏が目指す社会と組織、人のあるべき姿なのだ。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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