テクノロジーマネジメントを組織的に回していくには?
続いて甲元氏は、こうした未来型テクノロジーの見極めからビジネス創出までを組織的にマネジメントしていくための考え方について解説した。
テクノロジーの創成から普及までは、「創成」「ビッグバン」「頓挫」「回復」のフェーズに分けられ、プロダクトライフサイクルのS字曲線のようなモデルで表すことができるという。
甲元氏によると、テクノロジーマネジメントにおいては、このサイクルを踏まえた上で、どのタイミングでテクノロジーを見つけて活かすかを考えるべきだという。
「ビッグバンが起こる前に『認知』『理解』できれば、どの企業よりも早く活用できる可能性があります。さらに、『ビックバン』から『頓挫』までに、『観察』『検討』『評価』し、『頓挫』を超えたものについては実際のビジネスに適用して『試行』していくという流れになります」(甲元氏)
ただし、未来予測の的中率を高めることは不可能だ。そのため、こうしたテクノロジーマネジメントのサイクルを組織的に回していくには、長期的な視点で我慢強く続けていくことがポイントとなる。失敗が許されないような企業文化では、なかなか上手くはいかないだろう。甲元氏は「10~20年の計画のなかで1つでも成果が出たらOK、という姿勢が大事」だと、腰を据えて取り組んでいくことの重要性を強調する。
企業文化としては、新しいテクノロジーに迅速に取り組み、軌道修正をしやすいマインドセットやITアーキテクチャも必要だ。また、日本語圏内でのリサーチによってイノベーティブなテクノロジーを見つけ出すことは困難であるため、英語をベースに世界基準でリサーチしていくことが必須となる。
テクノロジーマネジメントのためのアイデア発想法
甲元氏は、「現行のビジネス課題を解消するために未来型テクノロジーを使うという発想は止めていただきたい」と呼びかけ、未来型テクノロジーの活用はあくまでイノベーションの創出を目的にすべきだと主張する。
したがって、テクノロジーマネジメントを実行する人材は、自社ビジネスに精通している必要はなく、むしろ企業の枠組みを超えてビジネスを考えることのできる能力が求められる。加えて、「直感的かつ主観的にテクノロジーを考えられる素質も重要」(甲元氏)だ。
「自分自身が面白いと思えるテクノロジーかどうか、まずは自分中心に考えていただきたい。『お客さまだったらどう考えるか?』という考え方では、発想に”枠”をつくってしまいます」(甲元氏)
自由にテクノロジーに思いを巡らせた上でカスタマージャーニーを考え、デザイン思考でアイデアを形にするサイクルを回していくことが、テックネイティブなビジネスを創出する際には必要となる。
このようにテクノロジーマネジメントや新規ビジネスの創出に必要な発想力について説明した甲元氏は、最後にテックネイティブで物事を考える際の”禁句”を紹介。「いつごろ標準化/デファクト化されるのか」「それは何に使えるのか」「一体いくら掛かるのか」「成功事例はあるのか」などの言葉を挙げて注意喚起し、講演を締めくくった。
* * *
変化が激しく未来の不確実性が高まる現代において、この先日本企業が生き残っていくためには、前例主義から抜け出し、イノベーティブなビジネスに取り組むほかない。企業全体をテックネイティブな文化にしていくことが、今求められている。
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