武闘派CIOが解説! 情シスが今立ち向かうべき「変化」と「課題」

[2020/09/16 10:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

在宅勤務のIT環境をいかに整えるか? -「投資」と「節約」

在宅勤務のIT環境を整えるために、友岡氏はほかにもさまざまなツールやサービスを導入していった。

例えば、同氏がオンライン会議の必須アイテムとして推奨するのがリング型ライトだ。オンライン会議の際にPCの背後から顔を照らすのに使用するもので、友岡氏はこのライトをIT標準品として設定し、各部門で購入できるようにした。

「ライトの優先順位は意外と高いんです。ご覧のように(笑)、さえないおっさんでもライトに照らされるだけで感じが良くなります。オンラインでの印象はすごく重要で、新しい生活様式における身だしなみだと思っています」

リングライト

SaaSの活用にも積極的だ。フジテックではG Suiteのほか、ZoomやBox、Slackなどを併用している。G suiteを使っているのにGoogle Driveに加えてBoxを採用するのは、管理者権限の設定が使いやすいからだという。新たに発生したSaaS導入費や通信費は、コロナ禍によって使うあてのなくなった出張費で十分まかなえた。

製造業ならではの課題もある。本来、セキュリティを守るための存在であるVPNが逆にボトルネックになっているという現状だ。

「そもそも製造業は工場のなかで企業活動を行っています。工場と外界の境界をVPNにより防御するという思想だったのです」

境界線

ところが、在宅勤務を導入した現在、「本来ならVPNのなかにいた社員がインターネットの世界に放り出された」ような状況になった。VPNの世界と外界のインターネット世界を行き来しながら業務を行う必要に迫られたわけだ。友岡氏は、これが生産性を下げてしまうことを恐れている。

「一方で出社制限がある程度緩和され、オフィスにも人が戻ってきましたが、会議室でワイワイ話すことはできません。やはり主となるのはオンライン会議です」

その結果、社内におけるインターネット利用も以前に比べて大きく増えた。帯域が足りないという課題も生まれている。そんななかで友岡氏は「外からVPNで接続して会社のシステムに入り、またクラウドなど外の世界に出ていくというのが無駄。次にやらないといけないのはインターネットブレイクアウト」だと語る。

「ローカルブレイクアウトを実現するためには認証基盤がクラウド側にないといけないし、アクセスログの管理も必要です。これらの在り方を考え直さないといけません」

ほかにも、WindowsOS上のファイルサーバの撤廃やクラウド基盤へのAll-Inなどを進めた。ただし、すぐに移行することは難しいので、データのコピーをクラウド側に持ち、データ活用のクラウド化を先行して進めたという。

ITで”節約”する方法を考える

次々に改革を進めていく友岡氏だが、一方で予算についてもシビアにとらえている。

「コロナ禍では、節約も大事です。いかにITでお金を作り出せるかを考えました」

友岡氏はまず、社内のMicrosoft Officeのうち13%を削除。これにより経費を大幅削減した。実はアプリの起動ログを半年にわたって確認したところ、G Suiteの普及もあって、約15%の社員がMicrosoft Officeを全く使っていなかったのだという。

それでもMicrosoft Officeを削除するというのは勇気のいる決断に思えるが、「そこまで踏み込んでもいい」のだと友岡氏は力を込める。

さらにDialpadを導入し、電話を仮想化した。在宅勤務がメインの現状では会社にかかってきた電話に出られないことも多い。DialpadならどこにいてもPCやスマートフォンで電話を受けられる上に、経費を25%も削減できたのだという。

DBMSの保守もRimini Streetに移管した。「定常費用を半額に抑えることができ、サポートの品質やスピードが大幅に向上した」と友岡氏は説明する。

デジタル戦略は「手段」に過ぎない

急速な勢いでDXを進めてきたフジテックだが、友岡氏は「コロナでDXが加速する」という言説については懐疑的に見ている。デジタル戦略は目的ではなく、あくまでも手段だと考えているからだ。

「Amazon CEOのジェフ・ベゾス氏の言葉に『重要なのは今後何が変わるかではなく、何が変わらないかです。ECなら10年後も消費者は安さ、素早い配送、豊富な品数を求めているでしょう』というものがあります」

Amazonは倉庫にロボットを導入している。それを見た人は「これぞDXだ!」と考えるが、それは違うと友岡氏は言う。

「Amazonがロボットを導入しているのは顧客ニーズを満たすために必要だったからです。しかし、多くの会社はロボットだけに目を付けて『導入しなきゃ』となりがちです」

まず顧客ニーズがあり、その上に事業戦略がある。デジタル戦略は、それを下支えするOSのようなものだと友岡氏は説明する。

「デジタル戦略は必要不可欠ですが、それは事業戦略と一体であるべきです」

ひとり情シスに必要なモノ

友岡氏のように”ひとり情シス”で奮闘している人も多いだろう。そんな人々に友岡氏は「外のものさしを持つことも大事。僕自身もコミュニティに救われました」とアドバイスする。

また、「反対勢力におびえない」ことも大切だという。

「反対勢力が多いプロジェクトほど大成功したものが多かったように思います。そういうプロジェクトを成功させると、会社のOSが一段階アップグレードされたような感覚があります」

もちろん、技術力を身に付けることも重要だ。

「発言力を付けるためには、実力が必要です。自分で実装して見せれば皆、乗ってきてくれます。パワーポイントのプレゼンだけでは、人は動きません」

最後に友岡氏は「こういうことがやりたい、こうなりたいという夢を持つことが必要。社内で怒られることがあっても、そこは愛嬌で乗り切りましょう」とひとり情シスにエールを送り、講演を締めくくった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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