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航空業界に学ぶDX時代のCX - KLMオランダ航空 × 電通アイソバー トップ対談

[2020/02/28 08:00]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

日本企業はまだまだデジタルを活用しきれていない


——ソーシャルメディアの役割について注目されるきっかけが災害だったという共通点は興味深いですね。得丸さんからみて、この間での企業と個人の関係はどう変わってきたと思いますか。

得丸氏:スマートフォンが普及したことで、ソーシャルメディアがエンドユーザーにとっては身近なデジタルチャネルになり、個人と企業ブランドの関わりが大きく変わりました。ソーシャルメディアが、いつでもどこでも個人と企業がダイレクトにコミュニケーションを取れる場になったんです。

ただし、残念ながら日本では、そこに対して積極的な企業と消極的な企業に大きく分かれています。せっかく新しい顧客とのタッチポイントがあるのにも関わらず、ソーシャルメディアを活用しきれていない日本企業もまだまだ多いなという感覚がありますね。

グラス氏:モバイルの登場というのは大きかったですね。スマートフォンなどのモバイル機器は、いつでもどこでもコミュニケーションができるという点でソーシャルメディアにとって革命的な存在です。一方で、私たちはモビリティを提供する会社です。人々の移動に対してどのようなサービスを提供するか考えるときに、モバイルの活用は戦略的にチョイスすべきことでした。

得丸氏:製品・サービスを提供する企業にとっては、それを使っているお客様がどういう方で、どういう使い方をしていて、そのことによって何をどういう風に感じているか、様々な形で知れるようになりました。

一方で、これまでとは異なり、今は単純に製品だけでお客様が満足できる時代ではなくなりました。そこにサービスを付加し、企業がトータルで提供するものが顧客の満足につながります。やはり、デジタルを活用できる企業とそうではない企業とでは、提供できるサービスに差が出てきます。

グラス氏:航空業界としても日本企業のDXは遅れているという印象です。私が疑問なのは、日本は様々なものがデジタル化された国であるはずなのに、例えば航空券を見てもオフラインで販売している割合が多い。昔ながらの対面形式が残っているのです。

空港内の手続きなどではすごく先進的な部分があるのに、サービスとオペレーションの部分にすごくギャップがあると感じています。

得丸氏:日本では、旅行代理店や航空会社の店舗、あるいは空港でのオペレーションの体制ができあがりすぎていてデジタルに移行しづらいというのが原因の1つにある気がしますね。また、少子高齢化によってマーケットの変化が他の国と比べて非常にゆるやかであるというのも、日本企業の取り組みが遅れている要因だと思います。

オンラインとオフラインの融合で、エモーショナルな部分をどうつくるか


——KLMでは様々な取り組みを行われていますが、今後はどのように展開されていく予定ですか。

グラス氏:次のDXのステップは、個々の顧客のニーズに応える「パーソナライゼーション」だと思っています。

KLMでは、例えばエコノミークラスの航空券といっても、変更手数料の有料、無料や払い戻しの可、不可などによって複数の異なる商品をご用意するという取り組みを行っていますが、今後は、お客様の目的地やフライト時間などといったデータを活用することで、こうした商品をさらにお客様にパーソナライズする形で柔軟に提案できるようにしていこうと考えています。

得丸氏:航空会社の強みは、旅のあいだに様々な形で顧客の情報が得られるという点にあると思います。それらを1つのデータベースにまとめ、どう活用するかという視点で考えたときにカギとなるのが、パーソナライズです。

先ほどグラスさんが、KLMはソーシャルメディア活用を、当初はブランドを知っていただく為のマーケティング、広告、プロモーションの目的だったものから、コミュニケーションやサービスに活用する段階へ変化した、と仰っていました。今後、セールスの部分では、どこの企業も同じようなシステムになっていくため、差別化が難しくなると思っています。

大事なのは、それ以外の付加価値をどう加えていくかということ。そういう意味で、やはりパーソナライゼーションが重要になると思っています。

私個人の考えですが、パーソナライズという観点では、使いやすいとか便利ということ以外にも、もう少しエモーショナルな要素があってもいいと思うんです。特に航空業界は、サービスのなかに人間性のようなものが含まれていて、サービスの提供の仕方によって、快適に感じたり、感動したりということがある領域だと思っています。

DXというと利便性や効率性というところが注目されがちですが、航空会社は今後それだけでなく、より人の感情に訴えるサービスにまで踏み込んでくるのではと予想しています。

グラス氏:私も、エモーションはすごく大事なものだと考えています。過去にも顧客の感情に訴えるための取り組みを試してみたことがありますが、当時はまだ空港やサービスなど様々なことがマニュアルだったため、上手くいかなかったんです。

でも今はDXが進み、AIや機械学習で自動化されるようになってきたことで、その土台は整いつつあると思います。顧客のクラスタリングはすでにできていますので、ここからいかにしてさらにパーソナライズを進めて、お客様により良いサービスを提供できるか、考えていきたいですね。

得丸氏:航空業界やホテル業界など、ホスピタリティビジネスで新しく起こっていることは、他の産業分野に比べて顧客との接点が濃密な瞬間に起こっていることです。顧客満足度を向上させるという観点では、他の産業にも参考になることは多いと常々感じています。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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