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ピンチはチャンスに変えられる! プロが解説する「謝罪の極意」

[2019/10/07 08:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

なぜ相手は怒っているのか? -“あの謝罪文”が批判されたワケ

謝罪訪問の準備で最初に行うべきは、「怒りのメカニズムを理解し、相手がなぜ怒っているのか」を知ることだ。

越川氏によると、「怒り」という感情は二次感情であり、必ずその前段階に「悲しい」や「寂しい」といった一次感情が存在するのだという。この一次感情が許容量を超えたとき、怒りに変わるというわけだ。したがって、怒りの原因を突き止めるには、「怒りの基になっている一次感情は何なのか」を考えることが重要となる。

その上で、火に油を注がないよう個社のNGワードを知っておくことも必要である。例えば、航空会社を相手に「墜落」という言葉を比喩で使ったり、物流会社を相手に「倉庫に閉じ込められたかのように……」というフレーズを使ったりするのはリスキーだ。当たり前のように思えるかもしれないが、こうしたリスクは必ずしもわかりやすく目に見えるものばかりだとは限らない。事前にあらゆるリスクを洗い出しておくのは、重要な準備となる。

また、謝罪訪問に「持っていくもの」として、越川氏は「誠意」「原因」「再発防止策」の3点を挙げる。

誠意は当然として、重要なのが原因と再発防止策だ。「なぜトラブルが起きたのか」という原因を何度も掘り下げて確認し、根本原因を究明しなければ、適切な再発防止策は用意できない。経緯や事態を時系列で整理し、完全に把握する必要がある。

謝罪文で押さえるべき「7つの要素」

そして謝罪文の作成に移る。盛り込むべき要素は次の7点だ。

  • 責任部門/責任者
  • 事実
  • 時系列経緯
  • 発生原因
  • 発生時の対処方法
  • 瑕疵、反省すべき点
  • 再発防止策

この7点を過不足なく盛り込めているかどうかが、謝罪文の作成で最も重要なポイントとなる。加えて、こうした文書を謝罪会見などで対外的に発信するのであれば、「誰に向けて謝罪しているのか」をはっきりさせることも必要だ。

講演では、SNSなどで批判が相次いだお笑い芸人の謝罪コメントをピックアップ。上記の観点を持って、そのコメントのどこに問題があったのか考える時間が設けられた。一例として、越川氏は「誰に対して何の謝罪なのかがわからない」「謝罪の目的が何なのかがわからない」「誠意が伝わらない」といった点を指摘。押さえるべきポイントをことごとく外したために、謝罪どころかむしろ騒ぎをエスカレートさせる結果になったことを説明した。

また、ある週刊誌の企画が批判を浴びたために編集部が出した謝罪文も同様に添削が行われ、こちらも同じく「誰に向けた謝罪なのかがわからない」「言い訳が入っている(必要ない)」「再発防止策が書かれていない」といった指摘がなされた。越川氏はそれらの問題を解消した簡潔な修正文を例示し、謝罪文に「必要なもの」と「不要なもの」を明確に示した。

訪問当日のポイント

準備だけでなく、謝罪訪問当日の行動にも当然さまざまな注意事項がある。意識すべきは「リスクを減らし、情報量を増やすこと」だと越川氏。

「遅刻や遅延があっても問題ないよう、60分前には現地に到着していることが望ましいです。最新の障害状況や再発していないかどうか、先方の被害なども頭に入れておきましょう」

複数人で訪問する場合は、受付で待ち合わせたりしてはいけない。担当者が受付で待ち構えていることもあるからだ。訪問先からは少し離れた場所で集合し、服装の確認や最終打ち合わせを行った上で、5分前には全員で受付に到着するようにする。

また、客先への訪問となると何か手土産を持参したくなるところだが、初回の謝罪訪問時には手土産は持っていかないほうがよいという。怒りの真っ只中である先方も受け取りにくい上に、「物で釣ろうというのか」などと余計な怒りを買いかねないからだ。手土産は事態が解決した2回目以降の訪問で持参し、担当者のほか、アポイントメントを取り次いでくれた秘書や受付にもお礼の気持ちを込めて渡すのが望ましい。

さて、部屋に通され、担当者が姿を見せたらいよいよ謝罪を行うわけだが、ここでも重要な点がある。

「いきなり詫び状を読み上げるのではなく、まずは何に謝罪するのか、今後どうするのかを明確に伝えます。その際、言葉遣いには最新の注意を払ってください。NGワードを使わないのはもちろん、『だ行』を避けるのもポイントです。耳障りが悪いだけでなく、『ですが』『だと思いますが』など、言い訳や強い否定に聞こえがちだからです」

加えて、「できないことを約束してはいけない」と越川氏は強調する。特にシステムトラブル関連の謝罪の場合、つい「もう絶対にサービスを停止させません」などと言ってしまいそうだが、現実には難しいケースのほうが多いはずだ。結果的に言ったことが嘘になってしまえば、二度と信頼は回復できなくなる。だとすれば、「サービス停止の可能性はゼロではありませんが、こういう対策をします」と正直に伝えたほうが顧客も安心するだろう。

こうして謝罪を終えたら、2回目以降のフォロー訪問で顧客との関係の再構築を図る。2回目は初回に約束した内容について報告し、再発防止策の進捗や緊急時の連絡体制などを確認してもらう。

さらに”何も起きていないとき”に3回目以降の訪問を行うのも、関係を再構築していく上で重要だという。「いつも御社のことを気にしている」という姿勢を見せることで、いざというときの協力体制が構築しやすくなるからだ。

ビジネスにおいて、トラブルはもちろん起きないに越したことはない。しかし、仮に起きてしまっても、しっかりとした謝罪と対応を行うことで、顧客からの信頼を損なわず、むしろ高める方向につなげられる。

「謝罪」と聞くと、どうしてもネガティブな印象がつきまとう。だが、今後ビジネスを継続/拡大していく上で今、何が求められているのかを真摯に考える機会だと捉え、前向きに取り組んでみてはいかがだろうか。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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