AIの本格的な普及は社会に何をもたらすか? - 日本MS CTOが語る"最前線"

[2019/04/09 09:45]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

ソリューション

AIが得意とするもう1つの分野

AIが得意とするもう1つの分野が翻訳である。マイクロソフトでは、数年前に翻訳分野における学習を統計的機械翻訳から深層学習による翻訳に切り替えた。AIにまとまった文章データを大量に与えて学習を繰り返した結果、主語を省略しても正確に認識するなど、より「行間を読む力」が増しているという。

この翻訳機能はすでにPowerPointやOutlookといったプロダクトにも組み込まれており、「ビジネスで非常に有用」だと榊原氏は胸を張る。

「契約書のような重要な書類は別として、コストをかけずにビジネス文書をざっと翻訳したいような場合には非常に便利です」

さらに榊原氏は100人という大人数でのグループディスカッションで使えるリアルタイム翻訳アプリ「Microsoft Translator」も紹介。例えば日本人、米国人、ドイツ人でオンラインディスカッションを行う際、日本人が日本語で話した内容は瞬時に多言語に翻訳され、米国人には英語に、ドイツ人にはドイツ語になって聞こえるというものだ。

講演では、実際に榊原氏が複数の言語を操って翻訳が行われる様を見せるデモンストレーションが行われ、参加者からは感嘆の声が上がっていた。

AIが苦手とする分野

もちろん、AIにも得意分野と不得意分野がある。得意なのはいわゆる「閉じた世界」であり、不得意なのは「総合的な体験を学習する」ことだ。

例えば、ゲームエンジンで作り上げた世界に、車やドローンの3Dモデルを作成し、シミュレーションの世界のなかで飛び方などの学習を行うといったケースでは非常に有効だ。24時間365日いつでも学習できるし、現実世界ではないので事故を起こしてもケガをしない。失敗もまた貴重な学習体験の1つとなる。

一方で、AIをオープンワールドで実装するとなると、想定外の問題が発生することがあると榊原氏は言う。

例えば、かつてGoogleの画像検索では、黒人の写真にAIが「ゴリラ」というタグを付けてしまい大問題となったことがある。また、東洋人がインターネット上で入国ビザを申請しようとして顔写真をアップしたところ、AIの誤判断により「目を開けている写真にしてください」というエラーが表示され、こちらも問題となった。

なぜこうした問題が起きるのか。榊原氏が紹介したNY Timesの記事によると、これはAIが学習する顔のデータの多くが「白人男性」だからだという。似たような画像データばかりを学習していたために、黒人や東洋人に対して正しい認識ができなかったのだ。

また、かつてマイクロソフトもチャットボットで大きな失敗を経験している。自動でツイートするチャットボットをリリースしたところ、初日からヘイトスピーチを連発するようになり、その日のうちに運用を停止するはめになったのだ。これは、悪意のあるユーザーがチャットボットに対してヘイトスピーチを連続してリプライし、教え込んでしまったために起きた出来事だった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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