KDDIが挑んだ"現場主導"のRPA導入 - 必須事項は「教育」と「体制整備」

[2019/02/07 08:00]冨永裕子 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

手応えを感じた5週間の育成プログラム

体制の強化にはまだ改善の余地があると考えているKDDIであるが、エンドユーザーに実施した育成プログラムには手応えを感じている。「集合研修ではなく、改善意欲の高い人を重点的に育成する方向に転換したことが良かった」と近藤氏は振り返る。

現場で役立つ開発をしてもらうため、いきなりUiPathを渡して開発を学んでもらうのではなく、まずレベル分けの研修を行い、個人のレベルに合わせた実践ができるようトレーニングのやり方を工夫した。

具体的な実施プロセスは次のとおりだ。まず5週間をワンサイクルとし、3名程度のチームを作ってトレーニングに取り組んでもらう。参加者は講師のサポートを得て要望のヒアリングやシナリオの枠組み作りを行い、その枠組みに沿った学習テーマを設定して、半日を集合研修、残りの半日を自分の部署に戻っての自習というスタイルで課題に取り組む。5週間でも独り立ちは難しいため、100%ではなく70%の習得を目標とし、その後もアフターフォローをするきめ細かいサポート体制を整備した。

実施するにあたり、CoEでは何を教育するべきかを理解するため、縦軸に「習得してほしいこと」、横軸を「人の名前」を設定した「スキルマップシート」を作成。それぞれに手薄な分野の学習を進めてもらうようにした。5週間という期間で十分に学習目標に到達できるかどうかはその人の頑張りにもよるが、ほとんどのチームで70%の目標を達成できたという。

一部に達成できなかったチームもあるが、実はそのチームにはとても優秀な人材がメンバーとして参加していたという。目標を達成できなかったのは、そのメンバーが多忙のために学習に十分な時間を確保することができなかったからであり、事前の知識よりも学習意欲のほうが目標達成には重要であることがわかった。

「5週間は一定レベルに達するには十分な期間ですが、その後の自習や実践も必要です。継続的な学習をしないとすぐにレベルが落ちるので、CoEのアフターフォローが必要になります」と近藤氏は説明し、EUCを根付かせるには継続的なサポートが必要であることを示唆した。

「ログ」を生かした改善

今後の展望として、KDDIは管理ツールとして提供されている「UiPath Orchestrator」を生かし、大規模な改善に取り組んでいく計画だ。UiPath Orchestratorのログを分析し、どのロボットがどう使われているかを理解する。そしてそのデータを大規模な業務改革に使えるようにしていくという。

「今まで改善が実感できなかったところを改善できるようにしたいですし、現場の開発をフォローする体制にしていきたいと思っています。それができるチャンスをもらったとも考えています」と近藤氏は意気込む。

「EUC開発は難しいことですが、壁を乗り越えると現場を輝かせることができると信じています」と語る近藤氏。とは言え、EUC開発を進めることには多くの悩みがある。

近藤氏は、「便利屋にされることもあれば、理解を得られないこともあります。でも、本気に改善しようとする人や組織を超えてサポートしてくれる人に出会いますし、何より喜んでくれる多くの人が現場にいます」とEUCの魅力を語る。

導入を進めるにあたり、KDDIは自社の要望をUiPath社に直接伝える機会も得られたという。「RPAツールはほかにもありますが、UiPathさんには私たちの要望をかなり伝えることができましたし、実際に聞き入れてもらうこともできました。製品をより良くするためにユーザーの声を聞く姿勢から私たちも学び、私たちのシステムを顧客のために価値のあるものを創造することにも取り組んでいきたいと思います」と想いを語り、講演を終えた。

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