人間とロボットの協働でベストを引き出すには? 総合商社 双日の挑戦

[2018/07/10 11:00]冨永裕子 ブックマーク ブックマーク

現場の協力が必須!「業務の選定」と「業務プロセスの定義」

ロボットの業務自動化を双日はどのように進めてきたのか。石井氏は、ロボットを業務で使えるようになるまでのプロセスを「ロボット化する業務の選定」「業務プロセスの定義(プロセス定義書の作成)」「ロボットの開発」「テストと修正」の5段階で説明していった。

「輸入L/C作成」の場合、後工程の「ロボットの開発」は2週間程度、「テストと修正」も1~2週間程度と、従来のシステム開発と比べるとかなりの短期間で実装できる。むしろ難しいのは、ロボット化する業務の選定とプロセス定義書を作成する前工程だと石井氏は話す。

ロボット化する業務の選定にあたっては、「定型的であること」「反復的であること」「手順が頻繁に変わらないこと」の3点が基準になる。ただし、その選定のノウハウは現場にしかない。つまり、現場がうまく説明できるかどうかが成功の鍵を握るのだ。

担当者がロジカルな説明を行うことに慣れていないと、プロセス定義書に記述するべき内容をうまく抽出できないこともある。さらに、手作業をロボットに任せる分、別の人に業務を引き継ぐ際に作る文書と比べ、詳細な記述が必要になる。

このほかにも、ロボットで業務を自動化する場合に特有の運用上の注意事項として、ロボットが100%正しく動くかどうかは仕組み上保証できないことを石井氏は指摘する。となると、必ず最後のレビューと承認は人間が行う必要がある。先に示した図のフローで、最後に人間へ確認を促しているのはそのためだ。また、何かの原因でロボットが動かない場合は、人間が代わって実行する必要があるため、今の業務を忘れないようにすることも大事だという。

自動化すると、今後もロボットが肩代わりしてくれると期待してしまうが、そうではないと石井氏は強調する。あくまでも人間を手伝うロボットが派遣されているだけで、ロボットがどう動いているかを知り、業務フローがさらに変わったときに備えることを忘れてはならないとくぎを刺した。

RDAで終わることなく本来のRPAへ

石井氏のチームは、6月末に全社のRPAニーズ調査を終了し、約300業務のリクエストを集約した。今後、どの業務をロボットに任せるかを選ぶフェーズに入るが、横展開が可能か否かを重視して優先度を決めたいと話す。

輸入L/C作成では成果を上げたが、石井氏は決して満足していない。達成できたのは、個人のデスクトップ業務が対象のRDA(Robotic Desktop Automation)であり、プロセスの自動化ではないという認識だからだ。本来のRPAの対象は、複数の部門が連携する業務の自動化であり、業務プロセスをロボットが前提となるものに変え、人間のリソースのシフトに留まらない取り組みの展望を描く。まずはRDAからロボットを増やし、本来のRPAに近づけていく構えだ。

今後、「仕事が楽になった後の人間は何をするか」という議論が生まれるかもしれない。だが、ロボットで浮いた時間をどう活用するかは、これから考える方針だという。まずは浮いた時間を作ることが重要であり、人事の話は後から議論すればいいというのが双日の考えである。その上で、単純業務を人間にさせない会社にしていくことが個人的な目標だと石井氏は明かした。

最後に、導入パートナーである青木氏の求めで「RPA導入に行き詰まりを感じている会社への一言」として石井氏が語ったのは、多くの人にRPAを知ってもらうことの重要性だ。RPAに関しては、事例が出始めるのを待つのではなく、早く始めるほうが得策だと石井氏は語る。「今3年かかるとしたら、先延ばしにしても3年かかります」と断じ、「ゴールに到達するまでの時間は同じである以上、できるだけ早く始めるべきです」と訴え、講演を締めくくった。

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