AIでメディアはどう変わる? - NTTドコモ 大西氏×ニッポン放送 吉田アナ

[2018/07/04 12:00] ブックマーク ブックマーク

AI vs. アナウンサー - AIは人を超えるのか?

続いてのテーマは「AI vs. アナウンサー」。すでにニュースを読むAIアナウンサーも登場しており、今後アナウンサーという職業がどう変わっていくのかは興味深い。AIは人間に勝るとも劣らない、本格的なアナウンサーになれるのか? ――まさにアナウンサーとして第一線で活躍している吉田氏は、現状をどうとらえているのだろうか。

このテーマについて吉田氏は開口一番、「ぶっちゃけAIアナウンサーは僕より原稿を読むのがうまいです」と断言。

「アナウンサーの仕事をどう考えるかですが、『原稿を間違いなく、時間通りに読むこと』だとするなら、AIはかまないですし、時間通りに読めるでしょう」(吉田氏)

実際、アナウンサーとしてのトレーニングの”肝”は「時間をコントロールすること」にあるという。

「僕らアナウンサーは同じ原稿を10秒で読むこともできれば、15秒で読むこともできます。0.5秒単位でコントロールできないアナウンサーはほぼいません」(吉田氏)

この技術を習得するには通常2年ほどかかる、と吉田氏は考えているが、AIならばすぐにできるようになる。これはAIアナウンサーの大きな強みだろう。

ではアナウンサーはAIで完全に代替できるのかと言うと、事はそう簡単ではない。

吉田氏が挙げたもう1つのアナウンサーとしての仕事は、「時間調整の際、違和感を出さないこと」だ。

「TVでもラジオでも、最後にぶつっと終わってしまうと違和感があるので、アナウンサーはそうならないよう、さまざまな方法で時間を調整します。例えばTVだと、ニュースを読み終わったときに真顔で締めるパターン、『◯◯がお伝えしました』と名乗るパターン、お辞儀をして終わるパターン、お辞儀をしてカメラが引いて終わるパターンといろいろありますが、これらは全部時間調整なんです。アナウンサーが原稿をそろえてトントンとやっている場面が映ることも多いですが、あれも違和感をつくらないための時間調整なんです」(吉田氏)

これを聞いた大西氏は、アナウンサーの”職人技”に驚きながらも「『違和感とは何か』を定義するのは人間にとっても難しいので、AIに『違和感がないように話せ』と命令するのはさらに難しい」と説明。「シチュエーションを用意して、違和感のある/なしを設定し、それを教師データとしてAIに教えることは不可能ではないかもしれませんが、(そのやり方であらゆるケースを網羅するのは)あまり現実的ではないですね」とコメントした。

AIとアナウンサーの間にはまだまだ超えられない”壁”がありそうだ。

メディアはAIでこう変わる!?

最後のテーマは、今回のイベントの主題でもある「10年後のメディアはAIでどう変わるのか」だ。音声メディアであるラジオ、映像メディアであるTV、文字メディアである新聞やWebニュースに分け、AIの活用が当たり前となっているであろう”10年後の未来”について語られた。

例えばTVについては、「バラエティ番組のテロップの生成などはAIを使う時代になっているのでは」と大西氏。そうしたテロップは「どのタイミングでどんなフォントを使うと面白い」といったデータが蓄積されているため、今後は音声認識などの技術と合わせ、AIが自動生成するようになる可能性があるという。

また、新聞やニュースサイトなどの文字メディアについては、すでにAIが記事を書いている媒体やニュースソースのチェックにAIを活用している媒体を事例として紹介。「ただ、AIはニュースの裏取りはできないので、そこは人間の仕事として残るのでは」と業界の未来像を大胆に予想した。

大西氏は最後に「将来的に、スマートホームなどでAIと対話するのが当たり前になると、相手がAIでも親近感がわくようになると思います。そうなるともう、対話AIは”第4のメディア”と言ってもよいのではないでしょうか」と見解を示した。

* * *

会場では、AIに対する”素朴な疑問”が氷解すると共に、AIがメディア業界のどこに作用し、どのようなインパクトが生じる可能性があるのかを感じられるトークが次々に繰り広げられ、参加者たちは時に笑い、時に深くうなずきながら熱心に聴き入っていた。

TVやラジオ、新聞、インターネットなどは、日常生活で少なからず触れる機会がある。そうしたメディアで当然のようにAIが使われるようになれば、人間にとって非常に「身近なAI」の1つとなることは間違いない。さまざまな”ここだけの話”も飛び出した盛りだくさんのトークイベントは、AIになじみがある方にとっても、そうでない方にも、未来を感じさせる刺激的な時間となったはずだ。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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