顧客の「脳」を満足に導くために - AIと脳科学で変わるビジネス戦略

[2018/02/28 08:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

AIと脳科学の融合で生まれる巨大マーケット

ビジネスで注目を集めるもう1つの分野がAIだが、現在、脳科学との融合が進みつつあるという。

例えば、ある映像を見たときの脳の反応データをモデル化する取り組みだ。テレビCMを見た視聴者が何を感じたのかについては、これまで正確に調べることが不可能だった。

そこで脳科学とAIの出番だ。IoTを活用して環境情報(身体外情報)を取得し、IoH(Internet of Human)で「生理情報(身体内情報)」を取得。これを「映像を見た結果、どう行動したか」という過去の情報と組み合わせることで、脳を解析・モデル化できるというのだ。

この技術がビジネスに与えるインパクトは大きい。多くの市場では既にマスからパーソナルへという動きが見られるが、顧客一人一人の脳をより満足させることができるとなれば、この流れが加速することは間違いないだろう。萩原氏はさらに、「オーダーメイドの簡易化・低コスト化・大衆化が新たな巨大マーケットを創出するだろう」と予測している。

では「脳を満足させる」とはどういうことか。

「マズローの欲求5段階説」では、人の欲求が「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「尊厳欲求」「自己実現欲求」の5段階で表されるが、萩原氏はこの欲求が「ITの進化に伴って拡大、多様化している」と指摘。さらに社会的欲求は「帰属欲求」へ、尊厳欲求は「承認欲求」へと変化してきたと分析する。ビジネスで満たすべきは、この「帰属欲求」と「承認欲求」なのだという。

マスパーソナライズされたビジネスで重要度が増すのはブランド力。そして、サーヴァント(召使)ではなくバトラー(執事)であるということだ。言われたことをやるのが召使なら、言われなくても予測して先に行動するのが執事の役割。商品を規格化してそこに顧客を当てはめていくのではなく、先読みして個々の顧客に合わせた商品を提供できるかどうかが、今後のビジネスのカギを握ることになる。

こうしたマスパーソナライゼーションの事例として萩原氏が挙げるのが、スタートトゥデイの「ZOZOSUIT」だ。伸縮センサーを内蔵した採寸用ボディスーツで体型を計測し、衣服をフィッティングするというサービスで、大きな話題を呼んだ。また、アディダスの「Futurecraft 4D」やAmazonPRIME Wardrobeの「エコールック」など、同様のサービスが次々に生まれている。

ファッション分野だけではない。6種類の栄養素から従業員に最適な組み合わせと量を自動で選択するヘルスサーバーの「ドリコス」、ユーザー一人一人のケガや障がい、体型に合わせたオーダーメイド車椅子「Layer:GO」など、あらゆる領域でマスパーソナライゼーション化が始まっているのだ。

一人一人の見た目が違うように、一人一人の脳も違う。そうした脳の違いに合わせた戦略を構築できるかどうかが、企業の将来を左右することだろう。そしてその”カギ”を握るのが、脳科学とAIなのである。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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