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モノづくりの現場で活用されるIoTの今 - トヨタ自動車、ISIDの取り組み

[2018/01/17 08:30]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

「リアル」と「バーチャル」を融合したクルマづくり

3つ目に挙げられたのが、講演のメインテーマとも言える「将来に向けたリアルとバーチャルを融合したクルマづくり」だ。これは、デジタルデータとリアルデータ、デジタルファクトリとリアルファクトリを融合して、生産技術革新を支援していく取り組みである。

細川氏は、新車開発における生産のなかでも、機械加工と組付けの工程において、どのようにしてリアルとバーチャルの融合を行っているかを「トヨタ生産方式の心を持ったIoT」の事例として紹介した。

「トヨタ生産方式」は、1950年ごろに生まれた「自働化」と「ジャストインタイム」を柱とする生産方式だ。自働化では、不良品を作らないこと、人の生産性向上を実現することに取り組む。ジャストインタイムは、必要なモノを必要なときに、必要な分だけを生産する取り組みだ。

「生産性を向上させて、競争力を上げる。これは資金を稼いで技術に回すということ。この活動を通じて人を育てることが重要です」(細川氏)

IoTやビッグデータ分析では、しばしばデータをとにかく溜め込んでおき、いつでも分析できる基盤を作る手法をとることがある。だが、データを溜め込んだりすることは、トヨタ生産方式の「必要なモノを、必要なときに、必要なだけ」という趣旨には合わない。

「機械学習は魔法の箱ではなく、問題解決の手法の1つです。大事なのはPDCAサイクルを回すこと。現場を巻き込みながら、トヨタ生産方式の心を持ったトヨタらしいIoTを進めています」(細川氏)

講演ではその具体例として、エンジン部品加工設備に関する取り組みが紹介された。

この取り組みでは、工具で粗材を加工する様子を「加工時センサー情報」として取得し、それをCADデータ上で再現させる。実加工でどんな問題が発生しているかを確認し、さらに工具設定や加工精度、設備切削負荷などのビッグデータを分析。なぜ問題が発生したかを特定・対策するというものだ。「問題の発生を未然に検知する」といったことも行っているという。

「まず、工場ごとの設備稼働率を確認して、異常が発生している工程を特定します。次に、特定した工程の稼働率推移から傾向を把握し、問題のある工具を特定します。今度は工具個体ごとの形状、設定値のバラツキから特異点を把握し、調査すべきポイントを特定します。ある加工サイクルで工具が折れたとすると、波形データから折れたポイントを特定し、折れた原因をCADを起動して、デジタルで再現して原因を特定していきます」(細川氏)

構築した環境のイメージ

同氏は、最後に「ムダをなくし、安心して活用できる環境・プロセスを構築するには、つなぐためのプラットフォーム、必要な因子を見極める知見や手法が大切です。もっといい工場づくりのために、業界が協力して標準的な枠組みや仕組みを作っていきたい」と訴え、講演を締めくくった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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