日本がe-Sportsで遅れを取ったワケ
続いて、パネルディスカッションに登壇する有識者によるプレゼンテーションが行われた。
慶應義塾大学大学院教授であり、日本eスポーツ協会理事を務める中村伊知哉氏は、まずe-Sportsの現状について次のように紹介した。
「米国では賞金獲得総額27億円もの大会が出てきています。プロのバスケットチームなどでもe-Sportsのチームを持つようになりました。韓国もe-Sports専用のスタジアムを設けて毎日試合が行われ、ケーブルTVやネット中継で配信されています。社会での認知度が日本とはぜんぜん違うのです」
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慶應義塾大学大学院教授であり、日本eスポーツ協会理事を務める中村伊知哉氏 |
これに対して日本は、「大会の賞金総額は500万円程度で、e-Sportsのリーグ戦も始まったばかり」とのことで、世界とは圧倒的な規模差があるのだという。
なぜ日本は遅れたのか。その理由は「規制」「プロ化」「認知」という3つの課題にある。
「日本は景品表示法の規制で、アマチュア大会の賞金上限は10万円とされています。これは今、政府とも相談しながらクリアにしようとしている部分です。また、日本には3つくらいのe-Sports団体があるので、それらがまとまってJOC(Japanese Olympic Committee)に入り、五輪にも選手を送れるようにしていきたいと考えています」
そこで最も重要となるのは「認知」だ。
「社会的な認知を高めるためには、『この分野がかっこいい』とか『儲かる』といった認識が広まらなければなりません。そのためには将棋の藤井聡太くんのようなスターを生み出していく必要があります」(中村氏)
e-Sportsを普及させるには、業界の協力も不可欠だと中村氏は強調する。
「ゲーム業界の方は、e-Sports向きのタイトルをたくさん作っていただきたい。また、IT業界の方には4Kや8KのパブリックビューイングやVRなどで映像を配信できるスマートスタジアムなどを全国に作っていただきたい」(中村氏)
続いて登壇した松本氏は、各国におけるe-Sportsの人気タイトルなどを紹介。また、世界各国のe-Sportsの配信に関わる中村鮎葉氏は、各国の大会を写真などで紹介し、その熱気を伝えた。例えば「リーグ・オブ・レジェンド」の決勝戦の視聴者数は全世界で4,300万人に上るのだが、これはNBA以上の数なのだという。
「e-Sportsに不可欠なのは人の要素。スタープレーヤーがいるから観客が見てくれるという面があります。米国ではプロスポーツ団体がe-Sportsに進出してきているほどです。スターは韓国や中国、台湾にもいます。日本でも、盛り上がってほしい」
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