自動運転の実用化に向けて「乗り越えるべき課題」と「ビジネス創出のヒント」

[2017/09/26 08:00]小池 晃臣 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

自動運転への期待と将来予測 -「初めに自動運転ありき」ではダメ

自動走行システムの開発には「競争領域」と「協調領域」があるが、このうち協調領域については、現在、政府を中心とした取り組みが進められている。具体的には、自動走行ビジネス検討会を経済産業省と国土交通省自動車局が主催しており、自動走行の市場形成とビジネス獲得の両立に向けた戦略の立案を目指している。

現在は協調領域における9つの重要分野で計画を進めている段階にあり、2017年度には高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業などを実施している。ほかにも、自動運転のルール整備に向けた取り組みや安全性評価に向けた取り組みを推進中だ。このうちルール作りに向けて、JARIではここ数年さまざまな取り組みを展開しているという。

「利益優先の活動ではないので、専門能力を持った強いプレイヤーと研究事業協力契約を結び、一体となって研究に取り組むことができます」(谷川氏)

続いて同氏は自動運転への期待として、自動車産業・ビジネスの拡大や、交通事故の削減、ドライバー不足の解消などによる社会問題の解決、そして新しいマーケットの創造を挙げた。では、自動運転によって自動車や交通社会はどう変わるのだろうか──。誰もが興味を抱く点について、谷川氏は次のような展望を示した。

「自立認識の機能は飛躍的に向上するものの、カメラやレーダー、超音波センサーなどのセンシングの機能には限界があることから、完全自動運転には地図などを含めたインフラの助けが必要不可欠となってくるでしょう。

とは言え、自動車もインフラも高価なため利用頻度が高くなければ採算をとるのは不可能です。そのため、限定した用途・場所での実証実験により、社会受容性の確立が必要となります。そして自動運転の実用化が、いつ頃どんなかたちで実現するのかと言えば、当面の実用化は、カーシェアやライドシェア、タクシー、トラックなどの公共交通や産業用途となると考えられます。そこで、どのようなビジネスが創出できるかが、その後の普及の『肝』となるのではないでしょうか」

ここで「自動運転は手段であって目的ではない」と強調した谷川氏は、こう続けた。

「自動運転というのは従前からの課題を一挙に解決できる魔法ではないという点を、まずは理解しなければなりません。ビジネスを考える際には、従来からの技術や仕組みが使えないかどうかを考えることが先決です」

つまり、問題の本質を理解し、自動運転が本当に必要なのかどうかをまず考えることが重要というわけだ。谷川氏はこうした見解とともに、改めて自動運転技術の実用化に対する期待を示し、講演を締めくくった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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