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100人いれば働き方は100通り! 社員の多様性を生かすサイボウズの人事改革

[2017/08/30 08:00]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

今こそ副業を複業に! 働き方改革「3つのポイント」

そんなサイボウズが今、積極的に取り組んでいるのは副業(複業)の自由化だ。2012年にテニスコーチなどを行っている社員に特例的に認めたが、翌年に副業を前提に中途入社する社員が現れたことで、制度を見直した。2016年に「他社に雇用される場合、会社の資産(モノ、カネ、情報、業務時間、ブランド)を使う場合は申請する」という決まりを作り、実質的に全面解禁。2017年時点で、申請して副業している社員は約50名に達している。ただし、「申請していないケースもあるので全体で何名いるかは不明」だという。

副業に対し「複業」という漢字をあてる意味は、副収入を得るためのサブという位置づけでなく、自分らしいキャリアを積むため並列(マルチ・パラレル)に活動を行ってほしいという想いからである。家事、育児、介護、ボランティア活動など、全ての価値創造活動が複業の対象だ。青野氏自身、2016年からNPO法人フローレンスの人事部門で複業をしている。

「会社にとって複業のメリットは、自社では提供できないキャリアを提供できることや多様な経験やスキルを持った社員を仲間にできることです。個人的にも知識、スキル、人脈、副収入が得られます。一方、課題は、どこまで許可するかの線引きが難しいことです。例えば、サイボウズ製品の導入コンサルを複業と認めてしまうと、本来の営業との区別が難しくなります。また、他社に雇用される場合の労働時間をどう管理するかや、柔軟な評価制度を導入しないと運用が難しいといった点も課題です」(青野氏)

青野氏はこうした働き方改革を実践して気づいたポイントを3つ挙げる。

1つは、目的を見失わないことだ。何のために働き方改革を行うかを意識していないと、その場限りの対策になる可能性がある。生産性向上につながってこそ、制度は継続できる。そこで、サイボウズでは「福利厚生」と「生産性向上」という一見すると相反する目的の両立をミッションにした。具体的には、働き方改革を「チームワーク溢れる社会・会社を創る」という企業理念を実現する手段に位置づけ、「チームワーク溢れる社会」と「チームワーク溢れる会社を創る」ことの両立を目指していったという。

2つ目は、風土やツールも変える必要があるということだ。風土の改革では、「公明正大」「自立と議論」に気をつけた。まず、嘘がなく情報に誰でもオープンにアクセスできるようにする。そして、情報を得ながら自ら選択し、責任を持って行動できるようにする。建設的に議論するための手段として「問題解決メソッド」という研修を社内でも繰り返し実施したという。

さらに、ツールを活用してリアルなオフィスとバーチャルなオフィスのどちらにも「出勤」できるようにした。全ての会議室には高性能ビデオ会議設備が設置されており、自宅からその場にいるように会議に参加できる。グループウェアやkintoneなどの自社ツールをフル活用し、円滑なコミュニケーションがとれるようにした。

全ての会議室に校正のビデオ会議設備を整え、自社ツールも活用する

3つ目は、評価制度を変える必要があるということだ。評価制度は、創業時からさまざまな変遷をたどってきた。2000年初頭には目標管理や成果主義を、2003~2005年には市場評価、360度評価、相対評価を6:3:1で組み合わせる制度を、2005~2007年には能力評価・絶対評価を、2007~2009年には階層の定義をと、それぞれ導入してきた。

「階層の定義と給与の不一致が課題となり、2013年に階層定義を撤廃しました。現在、試行錯誤しながら取り組んでいるのは、社外市場価値と社内信頼度による評価制度です。給与評価を市場価値で決めようというもので、賃金統計や社外市場評価サービスの数字を参考にしつつ、社内での信頼度を評価して給与を決めていきます。会社の報酬は、給与に限らず、配属や働き方などを含めた総合的なものです。フィードバックや納得感が非常に重要になってきます」(青野氏)

青野氏は最後に、「全てはチームワーク溢れる社会・会社を創るために」というサイボウズの理念を示しながら「今後も100人・100通りの働き方改革に取り組んでいきます」と強調し、セッションを締めくくった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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