有識者はどう見るか? AI社会到来に向けた未来のビジネスモデルを考える(後編)

[2017/04/27 10:35]冨永裕子 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

AIの普及・浸透に必要な倫理観とは?

AI脅威論が話題に上がる背景には、現在の技術革新の方向性とスピードの速さを抑止するものとして、何らかの倫理規程の整備が期待されていることがある。ディスカッションの最後は、AIが及ぼすプラスの影響だけではなく、マイナスの影響にどう対処するべきかという観点から、倫理観が議論のテーマになった。

ベリシモ氏は、「企業として、社会的不安の解消には重大な責任があり、GoogleやFacebookのような競合とも協力する必要があります。影響も大きいので、学会や他の分野の人にも参加してもらわなければなりません。新しい技術の正しい適用方法を浸透させるために役立つのがガイドラインです」と説明し、重視するポイントとして次の3点を紹介した。

1. 目的を共有すること:拡張知能を通したやり取りだけでなく、IBMには世界級のクラウドのプラットフォームがある。IBMとしては、これをどんな地域、どんな業種の人でも使ってもらえるように公開したい。
2. 透明性を担保すること:IBMの優位性はデータを扱う技術と知的財産にある。世界の全データの2割を占める検索可能なデータは収益性が高く、共有したくないと考える企業が多い。しかし、透明性を高める取り組みの1つとして、IBMはさまざまな技術で企業がAIを活用したビジネスモデルを構築する支援をしていきたい。
3. スキル:非常に大きな責任があるので、大学にAI関連の寄付講座を設けたり、公的な分野への投資を行ったりしている。いずれも社会や人々の人生をより良いものにするためのものと考えている。

一方、松尾氏は国内の人工知能学会の倫理委員会で委員長を務める。同委員会では、どのような取り組みをしているのか。

松尾氏は、「倫理委員会の目的はAI研究者が社会と対話することにあります。技術に対するさまざまな心配や懸念について、多くの研究者は『そんなことは起こらない』と思っています。しかし、深い専門知識を持つはずの研究者がリスクを見落とすのは歴史的によくあることです。謙虚な姿勢で社会と対話し、お互いの理解を深めることが大事だと考えています。一般の人と対話したり、倫理指針を発表したりとさまざまなことに取り組んでいます」とコメントした。

いずれの取り組みも、AIを人類の共通の利益に資するためのものと捉え、人々と対話し、それぞれが理解を深められるよう工夫が凝らされている。また、AIのような新しい技術の普及に伴う社会的な課題解決は、特定のベンダーだけに委ねられるものではない。今回のディスカッションでは、テクノロジーベンダー、事業会社、学術機関など、全ての関係者全員が協力する必要があることが示された。

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