有識者はどう見るか? AI社会到来に向けた未来のビジネスモデルを考える(後編)

[2017/04/27 10:35]冨永裕子 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

AIは人間にとって脅威なのか?

AIは学習によってその能力を高め、より高度な判断を可能にしていく。そこに寄せられる期待は大きいが、反面、AIが人間の能力を超えると「人間の仕事がなくなるのではないか」と不安視する声も耳にする。また、AIが進化して人間以上の認知能力を持つと、人間の生存が脅かされるという懸念もある。

こうした「AI脅威論」について、東京大学大学院 工学系研究科 特任准教授の松尾豊氏は「仕事を失うかどうかは、AIに限らず、技術の革新に伴って起こりうることです。しかし、国、あるいは産業が強くなれば、それに応じた雇用が生まれます。日本がAI分野で世界をリードし、産業競争力につなげることが大事だと思います」と主張する。

さらに、「『人間を襲う』という不安は、知能と生命を混同しているからではないでしょうか」と問いを投げかける。

「人間は知能を持った生命です。『自分を守りたい』『仲間を助けたい』『子孫を残したい』などは生命に由来することで、知能に由来するわけではありません。知能ができることは基本的に与えられた問題を解くことであり、知能の使い方は生命としての人間が考えることです。AIが勝手に進化して人間に対抗することはないと思います」(松尾氏)

また、楽天 執行役員 兼 楽天技術研究所 代表の森正弥氏は「小売りの現場では、インターネット登場の前後で人間の消費行動が劇的に変わったと言われています。またスマートフォンの普及でも消費者の行動が変わりました。これは購買に伴うさまざまな制約がなくなったからです」と説明する。

企業側としては行動の変わった消費者にどうアプローチするかが課題になるが、そこでは過去に培ってきた知識が通用しないことが悩みの種だ。

これについて、森氏は「人間の仕事が取られることよりも、顧客の進化にビジネスが追随できないことのほうが問題であり、AIの活用は先に進むために必要なことなのです」とポジティブな見解を示す

ただし、AIには限界もある。森氏は「例えば、『マニアックなCDがどのぐらい売れるか』という予測は得意ですが、AKB48のCD発売時の需要予測は全くできませんでした。これはCDに握手券が付いたビジネスモデルが過去になく、同じCDを何枚も買う人がいることを考慮できなかったからです。過去のデータがないとAIは無力になります。人間のやるべきことは、全く新しい枠組みを生み出すことではないでしょうか」と語り、人間にはクリエイティブな業務に集中することが求められることを示した。

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