ディープラーニングが引き出すIoTの潜在力! 進化する画像解析の世界

[2017/02/24 16:50]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

画像解析から生まれる新サービスの可能性

IoTデバイスで食べ物の記録を自動的に取ったり、デバイスにオスカーのような人格を持たせてアドバイスを受けるような取り組みは既に始まっている。カメラは街中に設置され、人の身振り手振り、顔の形、表情、人数などをリアルタイムに把握できるようになった。

「J・R・R・トールキンが書いた『指輪物語』や『ホビットの冒険』には、目を持った樹木が登場します。それが現実になったのです。目が偶然捉えたものを解析することで、これまでとは異なる新しいものが生み出せるようになりました」(ローズ氏)

例えば、クラウドとつながるペン「Anoto」、現実世界の色をサンプリングしてデジタルアートを描く筆「IO brush」、フィッティングルームでの仮想的な着替えを行う鏡「memomi」、ドローン型の自撮り棒「self stick」、パノラマ撮影できるボール型カメラ「Bounce Imaging」、カプセル型内視鏡「Pillcam」など、新しい試みはたくさんある。

だが、ローズ氏は、そうした数多くの研究があり、実際の製品が提供されているにもかかわらず「インターネット上の画像がテキストのようにクリッカブルではない」ことが疑問だったという。Facebookにアップロードされた写真には、誰が写っているかをタグとして付与し、そこから次のアクションができるようになっている。

ただし、これらは手動でタグ付けする必要がある。また、真に偶然写り込んだ全てのモノがクリッカブルになり、アクションを起こせるわけではない。自動的にタグが付けられ、タグをクリックすることで次のアクションを引き起こせるとすれば、大きな価値が生まれるはず。そこで作り出したのが「Ditto」だ。

Dittoは、コンピュータビジョンを使って、Twitter、Instagram、Tumblr上に公開されている写真のなかから製品・顔・ロゴ・衣服・景色を見つけ出し、マーケティング担当者用の知見を拾い集めるサービスだ。

「7,000のブランド、1,000のモノ、500の景色・顔・笑顔その他を識別します。例えば、ゼネラル・モーターズが、自社のトラックはどんな人に所有されているか、ほかのカテゴーの車を購入したいと思うのはどんな人かを知りたいとします。そこでDittoを用いると、ディープラーニングの技術で分類器(Classifier)を作り、非常に高い精度で特定の人やモノを探し出すことができるのです」(ローズ氏)

Dittoが提供する価値の1つは、このトラックの例のように製品やサービスがどんな使われ方をしているかといった「知見(Insight)」が自動的に得られることだ。

2つ目は、競合と比較して自分のブランドの強みはどこかといった「競合分析(Competitive Analytics)」ができること。例えば、アイスクリーム会社であれば「自社のアイスクリームは、競合他社に比べてSNS上で写真で共有される割合が高く、ブランド認知度が高い」といったことがわかるようになっている。

3つ目は、購買層(Audience)の把握だ。Dittoは、個人の写真をAmazonやeBayで販売されている製品にハイパーリンクしたり、Webサイトで見つかった写真から商品を特定して購入したりといったことができるようになる。

「コンピュータビジョンが非構造化データである写真を構造化します。構造化された写真は、ディープラーニングの技術を使って解析され、さまざなアクションを起こせるようになります」(ローズ氏)

例えば、メガネをかけた知人の写真をクリックしてメガネを購入したり、スポーツ映像をクリックして観戦チケットを購入したり、食事の写真を見てレストランを予約したりといったアクションが起こせる。音楽、エンターテイメント、小売、カーシェア、インテリアなど、写真の題材となるあらゆる商品とサービスが、構造化された写真によって「つながり合う」わけだ。

「IoTの世界は、スマートフォン、SNS、ユーザー生成コンテンツ、クラウド、偶然を捉えるカメラ、アフィリエイトとソーシャルコマース、こういった複数の要素が絡まり合うことで成り立っています。Dittoはそのなかで、あらゆるソーシャルフォトストリームがすぐにアクショナブルになり、購入可能になる(Shop-able)という世界を広めていこうとしています」(ローズ氏)

Dittoを支えているのは、コンピュータビジョンとディープラーニングだ。ローズ氏は「視覚のほかにも、味覚、嗅覚、触覚、聴覚など、さまざまな分野があり、さまざなClassifierが作り出せるはずです」とし、IoT発展のこれからに期待を寄せた。

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