数億枚の名刺を手作業でデータ化! Sansanを支えるシステムの仕組み

[2016/12/07 10:57]小池 晃臣 ブックマーク ブックマーク

数億枚を手入力で捌くためのシステム「GEES」

以上のような背景を踏まえて常樂氏らが構築した独自システムが『GEES』である。

GEESという名称は、「Global(より世界中のリソースを利用できるように)」、「Elastic(より伸縮自在な体制が組めるように)」、「Efficiency(より効果的な方法で役割配置ができるように)」、「Scalable(よりスケーリングできるように)」の頭文字を組み合わせて付けられている。

当時は年間数万枚程度だったが、「近い将来、億単位の名刺を扱うことになっても不思議ではない。そのときには人員手配も含めた全体のシステムがしっかりしていないと捌ききれない」(常樂氏)という先見性の下、事業が急成長した際にブレーキにならないシステムとして開発された。

マイクロタスク化で効率化を実現

GEES構築の前提として、名刺データ化を担うリソースに関しては、センターオペレーターだけでなく、在宅ワーカーやクラウドソーシングなども活用する方針が打ち出された。それに合わせてGEESは「だれでも、いつでも、どこでも、隙間時間を使って、しかも事前準備不要で入力作業が行えるシステム」を基本コンセプトとしている。

これを実現しているのは、「マイクロタスク化」という考え方。GEESでは、名刺画像を細かいピース(マイクロタスク)に分割したうえでオペレーターに入力依頼するという仕組みをとっている。

オペレーターからすると、名刺単位ではなく、文字列単位で画像が表示されるため、情報を探す時間を省略できる。画面に出てきたものをパッと入力して、すぐ次の入力作業に移れる。

「マイクロタスク化のおかげか、ベテランの専門オペレーターになると1時間で名刺200枚相当をこなすまでになっています」(常樂氏)

クラウドソーシングにもシームレスに対応

さらに、マイクロタスク化により、アウトソーシングやクラウドソーシングにも対応しやすくなった。

作業の単位が小さく、長いものでも所要時間は数秒程度であるため、オペレーターからすると、いつでも始められて、いつでも終えられる。

ただし、「アウトソーシングやクラウドソーシングは、当然ですが、入力効率も精度もバラバラ」(常樂氏)のため、精度やセキュリティを担保しつつ、そのバランスも考えてリソースの配分を適正化しているという。

個人に繋がるような情報はさらに分割 - セキュリティは万全

また、セキュリティ面においても、マイクロタスク化は大きく貢献している。

名前や所属、住所、連絡先などの情報が関連付けられていないため、オペレーターの手元では個人情報にはならないのである。また、名前やメールアドレス、電話番号に関しては「文字列を2分割、3分割して異なるオペレーターに送るなど、情報として価値がないところまで細分化」(常樂氏)している。

複数の入力データを照合して精度を担保

マイクロタスク化されたデータは、同じものが複数のオペレーターに提示される。オペレーターが入力を終えると、複数名の入力結果をGEESが照合。照合結果が無事一致すれば、データをマージして名刺情報に組み立てたうえで、ユーザーに返される流れだ。

ここでもし入力結果が一致しなければ、自動的に次のオペレーターをアサイン。その結果が前の担当者と一致しなければさらに次をアサイン、と入力結果が一致するまで続けられる。こうしてデータの精度を担保している。

1文字でも誤りがあれば価値がゼロになる世界

以上のように、Sansanでは、依然としてオペレーターによる読み取り・入力を前提に名刺のデータ化を進めている。その理由について、常樂氏は次のように説明する。

「名刺情報というのは、たった1文字でも間違えればデータとしての価値がゼロになってしまいます。サービスとしての信頼性が下がり、怖くて使えないという状況に陥るかもしれません。たとえ99%正しくても、間違いがあれば、”惜しかった”などと評価してもらえることはないんです。だからこそ人間が入力・チェックするフローが必要。入力精度には万全を期しています。」(常樂氏)

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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