仮想通貨Zen(JPYZ・ゼン)とは?特徴と社会実験の内容を解説

仮想通貨というと、ビットコインやイーサリアムのような、法定通貨とは独立した価値を持つ通貨をイメージすることが多いでしょう。

これらの仮想通貨は、法定通貨とは異なる価値を有していますので、常に価格が変動しています。ビットコインに関して言えば、非常に値動きが荒いほどです。

いくら仮想通貨が便利で使い勝手が良いものだからといって、ビットコインのように価格が常に不安定だと、いつ価値が暴落するかわからないだけに、利用し辛いです。ただし、すべての仮想通貨が法定通貨から独立した価値を有しているわけではありません。

仮想通貨の中には、常にドルと同じ価値になるテザーのような、価格変動に悩まされない仮想通貨があります。そして、仮想通貨のZenも法定通貨と同じ価値を有している仮想通貨です。

Zenとは、常に日本円と同じ価値で使用することができる仮想通貨です。

Zenは仮想通貨を世の中に普及させるために作られた

Zen(ゼン)は、仮想通貨を世の中に普及させることを目的に作られたトークンです。

単位はJPYZです。

Zenの基本情報は次のようになります。

仮想通貨名 Zen(ゼン)
発行単位 JPYZ
発行年月 2017年7月
発行枚数上限 なし

Zenの最大の特徴は、日本円と常に同じ価格で取引できることです。ペッグ通貨の仮想通貨バージョンのような通貨となります。Zen同様に、法定通貨と同じ価値を有している仮想通貨といえば、テザーが有名です。

ZenはBCCCが運営している仮想通貨です。BCCCとは、ブロックチェーン推進協会と呼ばれる団体のことで、ブロックチェーンの啓蒙活動などを主に行っている組織です。

Zenは日本円と同じ価値を有している一方で、法定通貨と違って仮想通貨となります。そのため、法定通貨ではできないことが、Zenならば可能です。

さらに、Zenを運用するにあたってスマートコントラクトが導入されます。スマートコントラクトを導入することで、ブロックチェーンの信頼性を確保するとのことです。

Zenの仕組み

Zenは発行上限のない仮想通貨ですが、無尽蔵に発行されるわけではありません。Zenを発行するにあたり、まずビットコインなどの仮想通貨を預けることになります。

この預けたビットコインの時価に相当する分量のJPYZが発行されます。つまり、Zenは、預けられた金額と同等額のJPYZしか社会には流通しないということです。

発行されたZenは、1円=1JPYZで交換できます。

このような仕組みによってZenは発行されるため、電子マネーのように日本円を入金することでJPYZが発行されているわけではありません。

そのため、Zenは理論上、本当の意味では円と同価値というわけではありません。

常に円と同価値になるように、BCCCがZenを売買し、円と同じ価値になるように価格を調整することで、はじめてZenは円と同じ価格となるのです。

Zenの目的とは?

Zenの目的は、仮想通貨を普及させることなのですが、それは具体的にどのようなことなのでしょう?

仮想通貨といえば、2017年より脚光を浴び始めました。この年は世間では仮想通貨元年と呼ばれるほど、仮想通貨にとって意義のある年です。

2017年に改正資金決済法が施行されたことを皮切りに、ビットコインの価格は急上昇し、一時は200万円を越えるほどの高値をつけました。

その後、ビットコインなどの仮想通貨は様々な要因が重なり、一時は暴落こそしたものの、未だに高値を付けています。

仮想通貨の価格高騰というのは、一見するとポジティブな出来事のように感じられます。ただ、いくら仮想通貨は高い方が良いといえど、高すぎるのも問題です。

というのも、ビットコインの価格が高騰したことにより、仮想通貨の本来の強みである低コストな決済や送金ができなくなってしまったからです。

ビットコインの送金にかかる手数料は本来、無料も同然といえるほど安かったのですが、価格が高騰したことにより、ビットコインの送金手数料は急激に上がっています。

これでは、銀行よりも安く送金できるという仮想通貨ならではの強みが失われてしまいます。その上、仮想通貨が投機対象となってしまった現在、その価格は常に不安定で、使い勝手が悪いです。

例えばの話になりますが、100万円をビットコインに替えて送金するとします。この時、送金中にビットコインの価格が20%暴落すると、送金が完了した頃には100万円の価値があったビットコインが、80万円まで値下がりしてしまう恐れがあります。

もちろん、米ドルもユーロも円も常に価格は変動しているのですが、ここまで極端な価格変動は滅多に起きません。このような激しすぎる価格変動は、仮想通貨特有の事情となります。

仮想通貨が変動制を採用している限り、これらの課題は常に残り続けるでしょう。しかし、Zenならば問題ありません。

なにしろZenは日本円と常に同じ価値を有している仮想通貨だからです。

Zenならば価格が高騰する可能性が無い一方で、暴落の危険もありません。

そのため、仮想通貨の本来の良さである低コストな決済や送金という恩恵をZenを使用すれば常に受け取ることができます。

Zenは、仮想通貨業界が現在抱えている価格変動が起きやすいという課題にもっとも適切に対処できる仮想通貨なのです。

為替変動リスクがあるビットコインなどの仮想通貨と違い、常に円と同じ価格であるZenは、ビジネスをするにあたってもっとも相性の良い仮想通貨です。

Zenを発行しているBCCCとは?

Zenを発行、運営をしているBCCCとは、一体どのような組織なのでしょう?

まず、BCCCとは主にブロックチェーンの啓発活動に力を入れている団体のことです。その活動内容は幅広く、ブロックチェーン技術の発展のための資金調達支援や、海外のブロックチェーン団体との交流などを主に行っています。

国内の有志によって構成されているBCCCのメンバーの中には、有名な企業も複数存在します。

インフォテリア株式会社はBCCCに参加している会員の一つであり、BCCCを創設した立役者でもあります。インフォテリアの社長である平野洋一郎氏は、BCCCの理事長です。

インフォテリア株式会社とは、1998年に設立されたXML専業ソフトウェア会社です。インフォテリアの代表取締役がBCCCの理事長ということもあってか、Zenが発行された当時、インフォテリアの株価も高騰しました。

Zenは発行元こそBCCCですが、その大本はインフォテリア株式会社です。

テックビューロやカレンシーポートは、発行元であるインフォテリアより発行業務を受託しているということになっています。

「Zen」の技術的解説図

インフォテリアより発行されたZenは、ザイフなどの取引所によって取り扱われることで、広く世の中に普及します。

このZenを購入した企業は、このZenトークンを介することで様々なサービスを提供することができます。

そのようなZenトークンを使用した社会実験が現在国内で行われています。

デジタルトークン「Zen」の社会実験とは?

仮想通貨が今後、ビジネスの世界に普及するためには、価格が変動しやすいというリスクに立ち向かう必要があります。しかし、既に投機対象になってしまったビットコインやその他のアルトコインでは、今後とも価格を安定させることは難しいでしょう。

現在、ビジネスの現場では価格変動リスクの少ない仮想通貨の登場が待たれています。

Zenとは、そのような課題を克服しようという社会プロジェクトの一環で作られた仮想通貨です。

第一フェーズと第二フェーズの内容

日本円と同一の価値を持つ仮想通貨のZenは、果たしてビジネスの現場で使用できるのかという社会実験が現在進められており、その第一フェーズは既に終了を迎えました。

第一フェーズでは、BCCC所属の企業間にデジタルトークンのZenを流通させ、年会費やブロックチェーン大学校受講料の支払い時にZenを使用することにしました。

第二フェーズではBCCC以外の企業にもZenを流通させ、より広い社会で実験的に使用するとのことです。

第二フェーズでは、第一フェーズの実験結果を踏まえ、改良を重ねたZenが流通することになります。第二フェーズのZenは、第一フェーズよりも利用用途が広く、範囲も拡大するだけに、より実用に適した使用が行われることでしょう。

Zenの購入方法とは?

Zenは日本円の仮想通貨版ともいえるトークンです。それだけに、利便性が非常に高い仮想通貨なのですが、このトークンは購入することができるのでしょうか?

Zenは取引所大手のZaif(ザイフ)で売買することができます。

通貨ペアはJPYZ/JPYのみとなりますので、ビットコイン建てでの購入はできないようです。

価格レートは、常に1円=1JPYZとなります。

Zenの使い道とは?

Zenの使い道は今のところ、限定的です。Zenの社会実験はまだ第一フェーズが終了したばかりで第二フェーズはほとんど進んでいないため、BCCC以外での現場での使用はできません。

現状のところ、Zenは売買以外に使い道がありません。

ZenとTetherの相違点とは?

Zenと似た特徴を持つ仮想通貨といえば、Tether(テザー)があります。

テザーもZen同様に、法定通貨と同じ価値を持つペッグ通貨のような特徴を持った仮想通貨です。発行元はTether Limited社です。

Zenとテザーの相違点というと、まず対象となる法定通貨が違います。Zenが日本円を対象としているのに対し、テザーは米ドルを対象としてます。

さらに、新規発行に対し、テザーは米ドルと等価交換をするのに対し、Zenはビットコインなどの仮想通貨を引き換えに発行し、取引所に流通させることになります。

どちらも仮想通貨のため、通貨としての特徴は同じです。あえて違いを述べるなら、理念が異なるという相違点があります。

実社会での利用を目指しているZenに対し、テザーは投資目的で利用されることが多いです。テザーはビットコイン投資をするにあたって、米ドルの代替通貨として使用されることが多いです。その一方で、まだ実験中なのですが、Zenは投資よりもビジネスでの利用を念頭に置かれています。

Zenの将来性は?

Zenは将来性に関して言えば、非常に明るい仮想通貨です。

現在は社会実験の真っ最中のため、目立つことがほとんどありませんが、この実験が成功すれば、今後は社会に出て、広く使用される見込みが高いです。

というのも、社会で使用できる仮想通貨だと判明すれば、まずBCCCに参加している企業がZenの使用を開始することでしょう。

それに合わせて、BCCC以外の企業もZenを使用して決済をするようになれば、ますます社会での流通量が増すことになります。

Zenの問題点

Zenは確かに将来性のある仮想通貨なのですが、まったく問題点がないわけではありません。

まず、ZenはBCCCが運営をしている仮想通貨であり、ビットコインなどと違って中央集権的なトークンでもあります。つまり、Zenには常にカウンターパーティーリスクがあるということです。

2018年1月にあったテザー疑惑によってビットコインが大暴落を起こしたように、もしもZenを運営するBCCCに何かしらの問題が発生すれば、それがキッカケとなってZenの信用も失墜するかもしれません。

さらに、Zenの価格は日本円と常に同じであるため、暴落の危険がない一方で、高騰する可能性もないというデメリットがあります。

仮想通貨を購入する人のほとんどが、将来の高騰を見込んで購入する人ばかりです。現状のところ、仮想通貨を使用して決済をするという人は少数派です。

この状況を改善し、仮想通貨での決済が当たり前の社会が到来しない限り、Zenの社会での普及は難しいでしょう。

Zenの仮想通貨としての評価

Zenは常に日本円と同じ価値を有している仮想通貨です。そのため、日本円の代わりとして使用するのであれば、この上なく理想的な仮想通貨となります。

Zenならば、取引の最中に価格が大きく変動することもないだけに、安心して決済に用いることができるでしょう。

いくら仮想通貨が便利な代物といえど、目を離した隙に大暴落を起こすような不安定な通貨では、とても実用に耐えられません。

その点、Zenは価格変動リスクのない仮想通貨なだけに、今後実社会での利用が期待されます。Zenの社会実験の内容次第では、社会の在り方が今後、大きく変化するかもしれません。

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