GoogleやインテルといったIT業界の巨大企業が自動車産業への参入を進めている件について、ルネサス エレクトロニクス代表取締役会長の作田久男氏は、9日に行われた2014年3月期 決算発表会の場で独自の見解を述べた。

2014年3月期の決算発表会で説明する、ルネサス エレクトロニクス代表取締役会長兼CEOの作田久男氏

ルネサス エレクトロニクスでは「海外市場および自動車・スマート社会分野への集中」を経営方針に掲げ、自動車向けマイコンの開発を行っている。一方で自動車とインターネットの融合を進めるべく、GoogleやインテルといったIT業界の巨大企業も自動車産業に参入する構えを見せている。

決算発表会にて、記者から「自動車の"自動運転"の関心が高まっている。他分野から参入を目指す企業もあるが、今後の戦略を教えてください」と問われると、作田久男氏は「自動運転というのは非常に刺激的な言葉だが、消費者が求めているかどうかは微妙なところ」と断った上で、「車メーカー、メーカーに部品を供給するルネサス、いずれにとっても安心・安全がキーワードになる。参入が相次いでいるのは恐怖だが、基本はコラボレーションだと思っている」との見方を示した。

GoogleはAndroid OSを搭載した自動車の開発を進めていると見られている。また先日、インテルは自動車の自動運転技術を開発する日本企業に投資すると報道された。こうした動きについて記者から「Googleやインテルとは今後、競合関係になるのか。それとも役割分担をしていく関係になるのか」と問われると、作田氏は「Googleさんは上から網をかけることはできても、実際の下の部分は持っていない。ですから、コラボレーションになるだろうと見ている」と回答。記者から「Googleが(自動車の)脳みそになるのか」と問われると、「それはメーカーが嫌がるでしょう。Googleさんの動きも詳細までは分からないが。我々はOEMに、どうするのか質問している」と回答した。

一方で「インテルさんとは、ガチガチの喧嘩になりそう。被る部分が多いので。ただ、新しい需要が創出できるので、戦うのではなくコラボしていくべきだと考えている」と続けた。ルネサスの優位性については「うちは機能セキュリティが強い。途中で参入してきた企業とは違う」と話している。