ソフトバンクは2008年度中間期(4-9月期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.6%減の1兆3,289億円、営業利益は半期としては過去最高となる、同7.3%増の1,800億円、経常利益は同5.5%増の1,173億円、当期純利益は同11.5%増の411億円だった。

減収要因は、携帯電話端末の販売台数が同20%減ったことによる。同社は6年ぶりに業績予想を発表、今年度通期の営業利益を、前年同期比4.8%増の3,400億円としている。また、買収した旧ボーダフォンジャパンの発行済み公募社債を貸借対照表から分離するために保有したCDO(Collateralized Debt Obligation:債務担保証券)について、状況によっては、最大約750億円の損失が発生する可能性があることを明らかにした。

携帯電話を中心とする移動体通信事業の売上高は同5.0%減の7,739億円、全体に占める比率は57,9%だ。営業利益は同6.4%減の881億円で、同じく48.9%となる。携帯電話の契約数はこの9月末で1,963万で、純増数は連続17カ月首位を獲得している。シェアは前年同期末から1.5ポイント上昇して18.7%となった。

今四半期(7-9月)のARPU(Average Revenue Per User:契約者1人当たりの平均収入)の状況は、音声ARPUが2,460円(前四半期比70円減)、データARPUは1,710円(同60円増)だった。月額基本使用料980円の「ホワイトプラン」の申込件数は、7月に1,400万件を突破、3G携帯電話の契約数は、全契約数の80%以上にあたる1,600万件に達している。

ADSL事業などが属するブロードバンドインフラ事業は、売上高が同7.5%減の1,200億3,800万円、営業利益は同17.3%増の222億6,500万円だった。ADSL事業部門は、累積接続回線数やARPUが減少しており減収傾向にあるものの、通信設備の減価償却費や支払リース料の減少などが好影響して、増益基調を維持している。「Yahoo! BB ADSL」の、第2四半期末の累積接続回線数は455万1,000で、同四半期のユーザー支払いベースのARPUは4,279円。

固定通信事業は、売上高が同1.7%減の1784億5,800万円で、営業利益は同15.9倍の55億5,700万円となった。ソフトバンクテレコムの直収型固定電話サービス「おとくライン」は引き続き増収を継続しているものの、「マイライン」などの既存音声サービスは減収傾向を示している。しかし、固定費の削減など、経営効率化の取り組みが奏功し、この事業の業績は前年第2四半期以降、営業黒字を保っている。

また、同社は金融環境悪化の影響について説明した。旧ボーダフォンジャパンを買収した際、旧ボーダフォンジャパンがすでに発行していた公募社債750億円を償還するため、750億円のCDOを同社は購入した。CDOは、社債や貸出債権などを担保とした金融派生商品だが、このCDOは、160銘柄で構成されており、このうち7銘柄が債務不履行になると約456億円の、8銘柄が同様の事態になると約750億円の特別損失が発生するという。現在、6銘柄が債務不履行になっており、現時点では損失は出ていない。