最近ツイッターなどで、本連載のタイトルを間違えて「安堂ロイドなう」と書いている方がいらっしゃるようですが、本連載のタイトルは「アンドロイドなう」です。お間違いなきようお願い申し上げます。

さて、android 4.3から標準となったアプリに、Google Keepがあります。メモのためのアプリケーションで、Evernote対抗のようなことを言う方もいますが、実際に触ってみると、感じは大きく違います。むしろ、Keepは、付箋紙のように、忘れないようにしたいちょっとしたことを記録でき、これにリマインダを付けることができるアプリで、入力した情報を整理するEvernoteとは大きく方向性の違いを感じます。

Keepは、android 4.2の時点で単独配布アプリとして登場していましたが、4.3対応でリマインダー機能を追加しました。これは、時間や場所に対してメモを作成し、しかるべきタイミングでユーザーに通知するものです。

android 4.3から、無線LANがオフの状態でも、アクセスポイントのスキャンだけ行い、それを元に端末の存在位置を推測する機能や、GPSなどの位置測定センサーデバイスが持つ「ジオフェンシング」機能に対応しました。ジオフェンシング機能とは、一定範囲の領域に入ったり、出たりしたことを検出するハードウェアの機能です。この機能があるGPSデバイスなどを使うと、メインCPUが常に位置を把握する必要がなく、スリープ状態でも、特定の地域への出入りを監視できるようになります。第二世代となるNexus 7(2013)に搭載されているQualcomm社のプロセッサには、この機能が搭載されていると言われています。

時間を指定して、通知するなら、アラームとか、カレンダーとかと同じじゃない? と思われるかもしれません。たしかに日時を細かく指定すると同じです。ですが、Keepでは、時刻指定では、もちろん、何年何月何日の何時何分といった指定は行えますが、簡易な指定方法として「今日」、「明日」、「次の○曜日」(1週間後)の「午前中」(9時)、「午後」(13時)、「夕方」(17時)、「夜」(20時)という漠然とした指定が可能です。たとえば、「明日電話しますよ」みたいな約束をしたときに、これをスケジュール管理アプリケーションで扱おうとすると、具体的に何時何分と指定しなければなりません。「明日の午後は、この仕事をしよう」、みたいな漠然とした計画でも同じです。指定される時間は固定していますが、こういう、わりとルーズな時間指定ができ、しかも、メニューから選ぶだけなので割と簡単に使えます。感覚的には、「明日の午前中に仕上げること」みたいな付箋紙をディスプレイの横に貼っておくようなものです。

もう1つの場所指定は、地図検索機能と組み合わさっており、特定の場所のそばに来ると通知があります。こっちは、「帰りにスーパーでタマゴを買う」みたいなメモに、場所を記憶させるような感じで使います。正確な判定基準はわかりませんが、表示で0.1km(100メートル)以内で、だいたい数10メートルほどの距離になると通知が来ます。なので、少し回り道してスーパーに寄るような場合には、最寄り駅など確実に通過する場所を登録しておくといいかもしれません。

メモは、グーグル側にも保存され、

http://drive.google.com/keep

でアクセスが可能です。URLはグーグルドライブのドメインですが、自分のアカウントのドライブにあるフォルダとは別管理になっていて、上記のURLを開くと、Keepの専用ページが開きます。

もちろん、同じグーグルアカウントなら、他のアンドロイドでも同じメモを見ることができます。

メモは、タイトルとメモ本文(テキスト)があり、これに画像や音声を付けることができます。また、チェックボックス付きのメモも作成が可能です。

音声や画像は、その場で録音、撮影ができるので、画像メモや音声メモといった使い方が可能です。また、音声の録音は、Googleの音声検索と同じで、認識したテキストをメモ本文にしてくれます。ただ、音声が途切れると自動的に入力終了になってしまい、入力したい文章を一気に言わないと駄目です。ちょっとでも途切れると、そこで終了です。このため、入力することをあらかじめ頭にいれておかないと、文章を全部入力することはできません。また、音声認識した文章はメモ本文にテキストとして入るため、その修正は手動行います。1文程度なら、いいのですが、数秒以上になる「長い」文章だと、結構間違いが入ります。

表示は、付箋のように見える「グリッド」ビューと、「リスト」ビューの2種類あります。一覧性が高いのは、グリッドビューで、リストビューは、本文内容を見るのに適しています。基本的にメモは最後に作成したものが先頭に来るようになっているので、必要に応じて、アーカイブへ移します。これは、カードを横にスライドさせるだけです。

メモの背景部分には色を付けることもできます。背景の色を指定すると、目立たせることは可能ですが、やり過ぎるとかえってわかりにくくなるので、「重要」や「緊急」などの特別に目立たせる必要があるカードのみに色を使うようにしたほうがいいでしょう。

ちょっとしたことを忘れないように記録するリマインダーとしては、わりとイイできです。Outlookなどのタスクは、仕事の管理にはむいているのですが、帰りにスーパーでタマゴを買って帰るのを忘れないようにするのには、ちょっと向いていません。Keepは、Webからもアンドロイドからも設定可能で、いつでも通知してもらえるので、メモ管理よりもリマインダーとして使った方が便利なようです。

Keepは、メモを短冊状にならべるグリッド表示が可能。タイトルだけのメモは小さく、本文の文字は文字数に応じて文字サイズが変わる

アプリアイコンをタップするとページ切り替えメニューが表示される

今後、通知の可能性があるメモは、通知ページで表示できる

場所に接近したり、時間が来ると通知が行われる

通知シェードで「後で通知」を選ぶと、通知のタイミングを再設定可能

本稿は、2013年10月29日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。