LG Electronicsは26日(スペイン時間)、世界最大級のIT・モバイルの展示会「Mobile World Congress 2017」に先駆けて、プレスカンファレンスを開催。最新世代のフラグシップスマートフォン「LG G6」を発表した。

LG Electronicsから、18:9のアスペクト比を採用した5.7インチの最新フラグシップスマートフォン「LG G6」が発表された

同社は2016年のMWC2016で前世代のフラグシップモデル「LG G5」を発表した。本機は残念ながら日本市場に導入されなかったが、着脱可能な機能拡張用のモジュール機構「Magic Slot」などが注目を浴びた。

一方で、今回発表されたG6には本機能は搭載されず、緩やかに曲がったカーブドディスプレイも受け継いでいない。ストレートデザインのスマートフォンだ。

背面にはダブルレンズカメラや指紋認証センサーを搭載

OSにはAndroid 7.0、SoCにはクアルコムのクアッドコアプロセッサ「Snapdragon 821」を採用する。メインメモリは4GB。グーグルの最新スマートフォン「Pixel」にも搭載されているAIベースのパーソナルアシスタント機能「Google Assistant」もサポート。対応言語は英語とドイツ語からスタートする。

「Google Assistant」もサポート

LG G6の最も大きな特徴は「18:9」という、やや面長なアスペクト比の約5.7インチディスプレイを搭載した点にある。解像度は2,880×1,440画素(QHD+)、画素密度は564ppiだ。会場に展示された実機を手にしてみると、約5.3インチのLG G5よりも大きな画面なのに、本体サイズが大きくなったという感じがしない。フロントパネルから物理ボタンを廃したことに加えて、峡額縁デザインとすることで、片手で持ってもサクサクと操作できるようにデザインのバランスを整えた印象を受ける。

本体カラーはAstro Black / Ice Platinum / Mystic White

サイズ感はちょうど5.2インチの本体に、5.7インチの大画面が収まるように設計されているという。LGエレクトロニクスで本製品の商品企画を担当したIan Hwang氏は「動画や写真、ゲームなどスマホで楽しむエンターテインメントコンテンツのリッチ化に伴い、よりディスプレイの大きなスマホが欲しいという声が欧米を中心に高まっていた。しかし"大きなスマホ"は欲しくないというニーズもある。G6では両方のニーズに応えた」と、LG G6のデザインが生まれた背景を語った。

ディスプレイのアスペクト比が18:9となった背景には、オスカー賞を受賞した履歴を持つイタリアの映画カメラマン、Vittorio Storaro氏のアドバイスがあったという。Storaro氏は2対1のプロポーションを持つ映像の比率が最も美しく、最も自然な没入感を与えるという独自に「Univisium」と呼ぶフィロソフィーを提唱している人物だ。

映画カメラマンのVittorio Storaro氏もゲストとして登壇。18:9のアスペクト比をアピール

Storaro氏は「18:9は今後、モバイル端末で楽しむデジタル映像フォーマットの主流になるだろう」と力を込めて語る。実際に米AmazonではPrime Videoに公開している独自の映像コンテンツに18:9のアスペクト比で制作しているものがある。「LG G6では、その映像を上下に黒帯を入れたり、ズーミングしてカットする加工処理を行わず、最も高画質に楽しめる」とHwang氏が続けてその効果を強調した。

18:9の「フルビジョンディスプレイ」のオリジナルな体験を提案する

LGでは18:9の画面の優位性を「フルビジョンディスプレイ」と独自に銘打ちながらアピールする。また、今後はGoogle Playストアから、Imangi Studiosが制作する人気ゲームコンテンツ「Temple Run 2」をはじめ6つの作品がLG G6で遊ぶのにも最適な18:9対応のゲームコレクションとして配信される予定だ。

18:9対応のゲームコンテンツがGoogle Playストアから配信されるという

ディスプレイのプロポーションだけでなく、映像の画質についてもLG G6はドルビーラボラトリーズによるHDR技術である「Dolby Vision」に、スマホとして世界で初めて対応することがアナウンスされた。より多くの輝度情報を含むHDR映像は、対応するディスプレイ機器に表示すればいっそうリアルなコントラスト感と、鮮やかな色彩が楽しめるのが特徴だ。

LG G6はHDR10とDolby VisionのふたつのHDR技術に同時対応することになる。またDolby Visionに対応するモバイル向けのHDRコンテンツは今後、Netflix、およびAmazonからローンチされる予定があることも明らかにされた。

ディスプレイはHDR対応。Dolby VisionとHDR10の2つの方式をサポートする

本体の背面にはLG G5と同じダブルレンズカメラを搭載。イメージセンサーの有効画素数はともに約1,300万画素で、片側がF2.4/125度のワイドレンズ、もう片側がF1.8/71度の光学手ブレ補正エンジン搭載標準レンズとなる。動画は4K撮影が可能だ。

2つのカメラには13MPのイメージセンサーを搭載。広角・標準レンズが1基ずつの構成となる

フロントカメラも500万画素、F2.2/100度の広角撮影をサポートし、より手軽にセルフィ撮影が楽しめる。また18:9のディスプレイを活かして、撮影時に画面を上下に分割して、2枚の写真を同時にプレビューしながら合成写真が撮れる「GUIDE SHOT」など4つのトリック撮影機能を搭載する。

フロントカメラは5MP。100度のワイドアングル撮影が可能

18:9の画面を上下に分割したユニークな撮影モードを搭載

なおオーディオはハイレゾ再生に対応。Bluetoothワイヤレス環境で48kHz/24bit対応のハイレゾ再生に相当する高音質が楽しめるaptX HDもサポートする。

トップにはイヤホン端子を搭載

本体はサイドフレームをメタル素材で仕上げ、リアパネルは強化ガラスでカバー。内部の放熱性能を高めるため、ヒートパイプも搭載している。本体の防水・防塵性能はIP68相当。LG G5よりも10%の大容量化を実現した3,300mAhのバッテリーを内蔵し、クアルコムの高速チャージ技術「Quick Charge 3.0テクノロジー」にも対応する。充電・データ伝送用のUSB端子はType Cとしている。

内部の放熱性を高めるためにヒートパイプを搭載した

MWC 2017の本開催は2月27日から。LG Electronicsのブースには「LG G6」のほか、スマートウォッチの新機種なども並ぶことが期待される。

主な仕様は下記の通り。

  • OS: Android 7.0(Nougat)
  • CPU: Snapdragon 821(4コア)
  • 内蔵メモリ: 4GB
  • ストレージ: 32GB or 64GB
  • 外部ストレージ: microSD(最大2TB)
  • サイズ: W71.9×H148.9×D7.9mm
  • 重量: 163g
  • ディスプレイ: 5.7型
  • ディスプレイ解像度: 2,880×1,440ドット
  • メインカメラ: 13MP(F2.4/125度)、13MP(F1.8/71度、光学手ぶれ補正)
  • フロントカメラ: 5MP(F2.2/100度)
  • バッテリー容量: 3,300mAh
  • ネットワーク: LTE-A 3 Band CA
  • Wi-Fi: IEEE802.11a/b/g/n/ac
  • Bluetooth: Bluetooth 4.2 BLE
  • 指紋認証センサー: ○
  • NFC: ○
  • 急速充電: ○(Quick Charge 3.0)
  • カラーバリエーション: Astro Black / Ice Platinum / Mystic White