次期iPhoneが防水性能を備えているのではないかという噂が最近になり複数のメディアから報じられて話題になっている。その根拠は、つい最近になり米特許商標局(USPTO)が認可したAppleの特許にあるという。このあたりを少しだけ考察してみたい。

同件はCNNなどが報じている。iPhoneが防水機能をサポートするのではないかという話は以前からあり、それを示唆する動きとしてこれらメディアが紹介しているのが冒頭の特許というわけだ。問題となる特許は「9,412,183」の番号が付いた「METHOD FOR COLOR BALANCING UNDERWATER PHOTOGRAPHY」で、8月9日付けで認可された。同特許については、2015年4月に申請段階での開示が行われた情報を基に解説を行っているPatently Appleの記述が詳しい。概要としてはシンプルなもので、水面下では光のフィルター効果で色全体のバランスが変化してしまい、通常のカラーバランス補正では色合いの調整が難しいため、それに合わせたマッチングを行うという仕組みだ。

2016年8月に承認されたAppleの水面下でのカラーマッチングに関する特許

ただし、特許の認可タイミングと製品の発売サイクルは必ずしも連動していないため、このタイミングでの水中カラー調整特許の公開が、今年9月の発表が見込まれる新型iPhoneでの防水機能搭載に結びつくわけではない。さらに近い将来のタイミングでの防水機能サポートを意味するわけではなく、あくまで研究開発の一環として申請が行われたものだと認識しておけばいいだろう。

次期iPhoneに関しては、現在出回っている本体デザインに関する噂について「イヤフォンジャックの廃止」「Touch IDのホームボタンがメカニカルの押し込みタイプではなくハプティック式の振動フィードバックタイプに変更」というものが出ている。防水性能を実現するためには、端子やボタンのメカニカル部分など、水圧による水の浸入を防ぐ機構の採用が大前提となるため、こうした変更の数々が防水機能の布石という意見があるようだ。とはいえ、ボリュームや電源、静音モード切り替えのトグルスイッチ、スピーカーやマイク、Lightning端子といった具合に改善すべきポイントは多数あり、さらに現在流出が噂されているSIMカードトレイの形状から判断する限り、いわゆる防水性能を実現できていない可能性が高いと筆者は判断する。

iPhoneそのものはちょっとしたトラブルでの水の浸入による故障を防ぐため、気密性や"耐水性"を実現するべくデザイン的なアレンジが加えられているのは最近の傾向のようだ。実際、多少水に浸した程度では本体内部への水の浸入はないというiPhone 6s登場時のレポートも出ており、この特徴は間もなく発表される次期iPhoneでも引き継がれているとみられる。

一方で、仮にAppleがiPhoneに一定の防水性能を施したとしても、ユーザーが積極的に水中利用にiPhoneを活用するようなアピールはしないとみられる。実際、防水性能を前面に押し出したSamsungの「Galaxy S4 Active」では水中撮影を試みたユーザーの端末が浸水により次々と機能しなくなるトラブルに見舞われ、リコール騒動にまで発展した経緯がある。ユーザー数の多さを考えれば、Appleが防水を大々的にアピールすることは当面ないだろう。