プラスワン・マーケティングは14日、「2016年戦略発表会」を開催し、CES 2016で発表した「MUSASHI」や、既存モデルをリニューアルした「Priori 3S LTE」を発表。さらに2016年中に展開する数々の施策を明らかにした。

2015年の好調さと2016年の新展開をアピール

最初に登壇したプラスワン・マーケティングCEOの増田薫氏は、自社生産の各スマートフォンの販売実績に対して「数倍、ものによっては数十倍のロットを生産したが、すべて初日で完売。よい結果を出せた」と2015年を振り返った。また、カンボジアの通信キャリア「seatel」と提携し、50万台の販売合意契約が締結したと報告。さらに、2016年3月から北米に進出して80万台の販売を目指すと告げ、FREETELブランドの世界進出をアピールした。

「MUSASHI」を手にするプラスワン・マーケティングCEOの増田薫氏

カンボジアの通信キャリア「seatel」と提携して「Priori2 LTE」を同国に展開したところ、3週間で完売したという

カンボジアでは同社の「Priori2 LTE」を販売したが、3週間で完売するなど非常に好評だったため、後継モデル「Priori3 LTE」やハイエンド機「極」をローンチする予定だという。増田氏は中国の新聞記事で「日本の小米(シャオミ: 中国のネットワーク系ベンダー)か?」と評価されたことを強調し、「10年以内に世界一(のSIMフリーキャリア)を目指す」と自信を見せた。

そのほかにも訪日外国人専用プリペイドSIM「FREETEL Prepaid Data SIM for Japan」が好評な件や、ヨドバシカメラ全店舗などに設置した「FREETELコーナー」の展開を振り返った。後者はSIMカード購入者がMNPによる引っ越しを行う際、一般的には1時間ほど待たされる点を取り上げ、「我々は最短5分でMNPを可能にした」と、大手キャリアからの乗り換えを望んでいるユーザーへ迅速に対応できると強調した。

来日観光客をターゲットにしたプリペイドSIM「FREETEL Prepaid Data SIM for Japan」は昨年12月から提供中

各社大手量販店にFREETELコーナーを展開し、ユーザーに対する迅速な対応を実現したという

さらに増田氏は自身が大手IT企業で経験してきた所懐として、「メーカーは売った後のサポート費用をコストとして考える傾向がある」と説明し、社内にサポートセンターを設置してハードウェアとSIMカードを通した一体サービスを提供してきたという。デバイスとSIMカードを別々に購入するのが一般的な状況を踏まえて、「(顧客の)たらい回しは行わない」と自社のサポート体制に自信をのぞかせた。

「子どもの頃はSONYのウォークマンが大好きだった。だが、今の国内メーカーは元気がなくなっている」と語る増田氏は、2016年の展開としてSIMカードや各種スマートフォンの販売実績1位を目指すと同時に、海外への本格展開を行うことを明らかにした。既に整っているデバイスやSIM、サポートといった体制に加えて、店舗展開の強化やオンラインショップ、アプリケーションといった多角的なサービス提供を目指すという。「胸に日の丸がある気持ちで頑張る」と語る増田氏は、日本の企業が世界に進出した1980年代の勢いを取り戻すような意気込みを見せた。

現在海外に7つの支社を持つFREETELだが、2016年は北米やアジア中東など世界に向けて展開を行うことを明らかにした

WeChat使い放題SIMを提供

2016年中に展開するサービスとして、中国産SNSであるWeChatが使い放題となるプリペイドSIM「FREETEL Prepaid Data SIM for Japan」を紹介。こちらは25日から販売する。既存の各量販店に展開した店舗で修理受付やSIMカードの変更といったサービスの拡充も予定しているという。

中国で高いシェアを持つSNS「WeChat」が使い放題になるプリペイドSIMも2016年1月25日から開始する

今回は2016年3月までの展開を説明したが、近日中に新しいSIMプランやAndroid搭載の新デバイスも発表するという。新デバイスはMWC 2016に出展することから、そちらで明らかになると思われるが、筆者が増田氏に確認した限りでは、ミドルレンジクラスとフラグシップクラスの製品を投入する模様である。また、地域などは明らかにしていないが、1時間内の配送サービスや、自社スマートフォンの買い取りサービスも近々にスタートする。

4人からスタートしたプラスワン・マーケティングだが、現在は国籍11カ国200人の従業員が集い、Global Presidentとして元MotorolaのIan Chapman氏が就任している。「これからも面白いデバイスやSIMカードプランなど、多くの展開を予定している」と熱く語る増田氏の意気込みは2016年も変わらない。