iPhone 6sの発売後、心臓部であるCPUの「Apple A9」には製造会社によって二種類あり、片方はもう一方に対してバッテリー消費量などで大きな性能差がある、という情報が駆け巡った。これは一体本当なのだろうか?

CPUの製造は2社が担当

Appleは自社で工場を持たず(厳密には組み立て工場を持っているが)、独自設計のCPU「A9」などは韓国のサムスンや、台湾のTSMCに製造を委託している。基本設計はAppleが行い、実装は製造メーカーがそれぞれ行うわけだ。事実、Apple製品などの解体調査で定評のあるカナダの技術解析/特許支援企業である「Chipworks」によれば、サムスン製のA9は14nmプロセス、TSMC製は16nmプロセスで製造されており、CPUのチップ面積もサムスン製が一回り小さいのだという。

解析結果を公表したChipworksのWebページ。サムスン製は「APL0898」で96平方ミリ、TSMC製は「APL1022」で104.5平方ミリだという

一般に、チップは製造プロセスが微細な方が消費電力も小さく、バッテリー駆動時間や発熱の面で有利になるというのが常識であるため、iPhoneの実機でも同じことが起きるかと思われていたが、実際にベンチマークテストを実施したところ、テスト結果は真逆で、サムスン製が2時間近くも動作時間が短いという結果が出てしまったのだ。

この結果を受けて様々なサイトで同様にベンチマークテストを行ったところ、ことごとくサムスン製がバッテリー性能でやや劣ると言う結果になってしまった。なお、CPUの処理性能については両者ともほぼ同等だった。