iPhoneは"賢く"なったのか?

アップデート完了後、まず試したのは「Proactive Assistant」。iOSデバイスの使用状況やメールなどのデータを分析、その結果をもとにユーザがとると予測される行動を見越した処理を行うことが、機能の主眼だ。アプリや設定項目といったわかりやすい形では存在しないが、iOS 9の注目されるべき新機能といえる。

ところが、わかりやすい形では存在しない機能なだけに、これは明らかにProactive Assistantの効果だと断定できるシチュエーションになかなか遭遇しない。分析に使うデータを要する機能なだけに、アップデート直後という不利な状況もあるのだろうが……。

と諦めかけていたそのとき、ロック画面で何気なくイヤホンのプラグを挿したところ、画面左下に「ミュージック」のアイコンが現れた。抜くと消え、挿し直すとまた現れる。イヤホンのプラグを挿したのだから音楽を聴くはず、だから(操作時点で)もっとも起動回数が多い音楽再生アプリの「ミュージック」を起動する、とiOSが"先回り"したのだろう。

ロック画面を表示しているときイヤホンを挿すと、画面左下に「ミュージック」のアイコンが現れた。iOS 8では見られなかった機能だ

アイコンが表示された位置は、現在地を参考に関連するアプリをサジェストする「おすすめAPP」の表示位置としてiOS 8以降活用されてきた。その機能がProactive Assistantにも流用されるようになったのだろうが、しばらくしてSpotlightも該当すると気がついた。

Spotlightの画面を表示したとき、検索フィールドのすぐ下に表示される「SIRIの検索候補」がそれだ。上部に表示されているのは、最近電話をかけた/かけてきた相手と、最近利用した/利用頻度の高いアプリだ。どちらもiOS 8まではAppスイッチャーの機能に含まれていたが、それが分離してSpotlightに統合されたものと理解できる。実際、「設定」の「メール/連絡先/カレンダー」にあった「Appスイッチャー」という項目は消えている。

この原稿はiOS 9リリースから数時間の時点で書いているため、本来Proactive Assistantが持つ実力はデータ不足により検証しきれない。だが、iOSがある種の賢さを身につけつつあることは確か。iOS 9の使用時間が長くなればデータの蓄積が増え、その賢さに磨きがかかるのかもしれない。

Spotlight画面の「SIRIの検索候補」も、Proactive Assistantの機能も一種といえそうだ

地名で検索したところ、最近訪れた地域(秋葉原)へのルート案内のショートカットが現れた。これもProactive Assistantの働きだろうか