例年通りのスケジュールであれば、iPhoneが発表されるまで1カ月を切った。SNSを活用したバイラルメディアの「BuzzFeed」は、9月7日の週にAppleの新製品発表会が行われるとしており、9月9日という具体的な日付を示している。おそらく、その1週間後から予約を受付、さらに1週間後に発売となるだろう。最近の経緯から考えると、日本も当然、発売される最初の国や地域のグループに含まれるはずだ。

前述のBuzzFeedでは、Apple TVやiPadの発表についても言及しており、見所の多いイベントになることも考えられる。ストリーミング中継が用意されれば、日本からも、最新のiPhoneにいち早く出会うことができるだろう。

iPhoneの置かれた環境

iPhoneを取り巻く市場環境は、この1年、大きく変化したわけではない。

まず、プラットホームについては、端末の台数で世界を席巻するAndroidと、ハイエンド市場で確固たる地位を築いてきたiPhoneとで二分される。

日本や米国などの市場ではiPhoneの販売シェアが半数あるいはそれ以上になっており、中国市場でも四半期のスマートフォン販売のトップをiPhoneが獲得する場面が見られるなど、Appleの善戦が見られた。

デバイスメーカー別でみると、Appleがひとり勝ちの状況が続いている。Android向けのハイエンドデバイスでブランドを築いたSamsungの失速によって、Appleが市場の収益の大半を占めるようになった。

中国の新興メーカーは台数こそ伸ばしているが、収益の伸びは緩やかなものといえる。Xiaomiも高い質感、高性能のスマートフォンを打ち出しているが、Appleのブランド力による高付加価値に迫ることはできていない。

また、iPhoneに限らず、Appleはセキュリティやプライバシーについても、他のプラットホームに対する違いを強調するようになった。WWDC 15では、iOS 9のニュースアプリやSiriの予測機能などに機械学習取り入れるものの、学習データを他者に提供したり、Appleが関知することはないとして、Googleとの違いを見せた。またiMessageやiCloudの暗号化は、傍受や漏洩を防いでいる点で評価されている。

WWDC15の基調講演では、Siriの機械学習などの説明で、プライバシーに関するスライドを表示した

Appleは、Apple Watchなどの周辺デバイスやソフトウェアによって、ハイエンドのスマートフォンを求めるユーザーがiPhoneを使い続ける理由を固めている、という印象を受ける。