説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「次のiPhoneに活用されるApple Watchの技術は?」という質問に答えます。

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第1世代の製品が発売されたばかりの「Apple Watch」は、腕時計/アクセサリとしての側面を持つためか、技術的な先進性よりもデザインが先行している印象もあります。しかし、指先で画面を押す強さにより命令のバリエーションをもたせる「Force Touch」など、iPhoneの先を行く技術もいくつか搭載されています。

そのForce Touchも次のiPhoneで採用が見込まれる技術ですが、もうひとつ「SiP」も有望視されています。SiPとは「System in a Package」の略で、iPhoneなどスマートフォンのさらなる薄型化/軽量化に貢献する技術です。

現在のiPhoneには、iPhone 5sの「A7」、iPhone 6/6 Plusの「A8」など、SoC(System on Chip)と呼ばれるタイプの演算装置が採用されています。独立したICとしても存在しうる機能を1枚のシリコンウェハーに複数搭載することで、1つのチップでシステムを実現します。

いっぽうのSiPは、複数のICや小型部品を1つにパッケージ化したものです。SoCの場合、CPUやGPU、メモリといった性質の異なる機能/部品を同じ製造プロセスで1枚のチップに載せなければならず、製造工程は複雑になりコストも増えますが、SiPの場合は別に製造された部品(サブシステム)をまとめあげるのでよりシンプルです。CPUとメモリを積層構造にするなどSoC以上の省スペース化も見込めるため、スマートフォンで採用すれば強みになります。

もっとも、SoCをコアとして各種部品を搭載したタイプのSiPも登場するなど、両者の区別は曖昧になりつつあります。AppleはSoC/SiPの設計を行う企業であり、どちらのタイプを採用しても不思議はありません。性能とコスト、省スペースのバランスを見極めつつ、次のiPhoneにとってベストな選択をするのではないでしょうか。

Apple Watchに採用された「S1」は、別に製造された部品をパッケージ化したSiP(System in a Chip)です