米Appleは6月8日(現地時間)より、米カリフォルニア州サンフランシスコ市内のMoscone Center Westにおいて開発者会議「WWDC15」を開催する。初日の8日午前10時(PDT: 米太平洋時間)には基調講演が行われ、この模様は例年のようにインターネットによるストリーミング中継で誰でも閲覧可能だ。日本時間では9日午前2時と今晩遅くのスタートだが、もし興味ある方がいたら翌日に差し支えない範囲で見てみてほしい。本稿ではWWDC中継でのチェックポイントを紹介する。

会場となるMoscone West(写真は特派員撮影)

Appleのプラットフォームは「OS X」「iOS」「Watch OS」の3軸に

これまでAppleは「OS X」と「iOS」を2大プラットフォームとして製品展開を行ってきたが、今年のWWDCからは「Watch OS」を加えた「3つのOS」戦略を明確に打ち出してきたようだ。例えば9 to 5 Macが現在準備中のWWDC会場風景を紹介しているが、ここには3種類のOSが同格に扱われているバナーが掲載されており、「iOSデバイスの付属品」ではない別個の存在として「Watch OS」が扱われていることを意味している。これは、Watch OSと「Apple Watch」を本格的にテコ入れし、第3のプラットフォームとして育てたい同社の意志があるとみられる。

会場内の壁面には今回のテーマであるThe epicenter of change」をモチーフにしたグラフィックが描かれている(写真は特派員撮影)

4月のデビュー以来品薄の続いていたApple Watchだが、一部モデルを除いてほぼ品薄が解消され、6月末には新たに販売対象国を7カ国追加したうえで店頭での一般販売が開始される。このApple Watchの販売状況に関しては当初Apple自身も懐疑的だったという話もあり、品薄から増産……という流れはこの当初の懐疑的な判断を反映したものと考えられる。

一方で、アーリーアダプターと呼ばれる「新しいものに飛びつく層」での普及は一巡したとも考えられ、「第3の事業の柱」としてのApple Watchの普及シナリオを描くには次なるテコ入れ策が必要となり、むしろApple Watchの真価が問われるのは今年後半から来年2016年にかけての一連の施策にかかっているといえる。

現在のApple Watchの課題は明白だ。iPhoneの補助デバイスとしてスタートしたApple Watchだが、既存ユーザー継続して利用してもらう、そして新規ユーザーに受け入れてもらうためには「キラーアプリ(サービス)」の存在が不可欠となる。現在は主にAppleが標準で提供している「通知」や「活動量計」での利用がメインと思われるが、これ以外の用途をサードパーティに開拓してもらい、あわよくば将来のApple Watchの標準機能として取り込むことが同社にとって重要だ。その鍵を握るのが「Watch OS」というわけだ。