先日、Bluetoothによるワイヤレス機能を装備したヘッドフォン「Beats by Dr.Dre solo2 ワイヤレス オンイヤーヘッドフォン」に新色のスペース・グレイ、シルバー、ゴールドの3色を追加した米Beats by Dr. Dre。この3色はMacBookやiPhone 6/6 Plus、iPad Air 2/mini 3とお揃いのカラーラインナップだが、アップルと同じく、最近はワイヤレスで利用するのを前提にした製品に注力しているように思われる。現行製品を中心に、Beats by Dr.Dre製品の魅力を探ってみよう。

Beats by Dr.Dre Studio ワイヤレス オーバーイヤーヘッドフォン

まずは、アダプティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載したヘッドフォン「Beats by Dr.Dre Studio ワイヤレス オーバーイヤーヘッドフォン」(税別37,800円)だ。この機能は、本体のマイクが外部の音を広い、逆相の音を内部で出力することで環境ノイズを軽減するというものだと予想されるが、実際に起動してみると、ANC専用モードでは、周囲の音が殆ど聞こえなくなる。元々遮音性が高い構造になっているのだが、ANCを使うと喧騒が忽ち静寂へと変わる。これはちょっとした驚きだ。

ワイヤレス機能はBluetoothを利用する。Bluetoothというと音質的にはいまひとつなイメージがあるが、規格に於ける転送速度の向上に従って、クオリティは、ワイヤードなシステムと比べても遜色ないところまできている。ブラインドテストをしてみても、恐らく殆どの人が聞き分けられないレベルだろう。

また、Beats by Dr. Dreのイメージとして「低音が出る」というのがあるが、低音だけでなく、全帯域がバランスよく出ているのがプロダクトの特徴だ。これについては同社代表のLuke Wood(ルーク・ウッド)氏の発言にあるように、オールジャンルに良い音を届けたいという想いがよくあらわれているように思える。デジタルレコーディングやサンプリングなどの技術により、音楽の制作環境が大幅に変化したにも関わらず、ヘッドフォンなどプレイバックの環境はあまり進化がなかったことに対する苛立ちが、このような製品群を生み出していったのだとも言えよう。

Beats by Dr.Dre PowerBeats2 ワイヤレスインイヤーヘッドフォン

続いてはインイヤーヘッドフォンの「Beats by Dr.Dre PowerBeats2 ワイヤレスインイヤーヘッドフォン」(税別20,600円)を紹介しよう。NBA選手・LeBron James(レブロン・ジェームス)にインスパイアされてデザインされたというこのプロダクトは、アスリートが使うのにピッタリだ。より激しい激しいワークアウトには、やはりワイヤレスのほうが扱いやすい。それに、イヤーフックがよくできていて、激しい動きがあったとしても脱落しないようになっている。こういった脱落防止用の構造は他社製品でも採用されているが、強度に問題があったりして、長期間使用することができなかったりする。が、Beats by Dr.Dre PowerBeats2 ワイヤレスインイヤーヘッドフォンのイヤーフックの耐久性はとても高く、安心して使うことができる。また、イヤーピースからケーブルまで、防水・防汗加工が施されており、シリコン素材の部分も劣化しないので、やはり長い期間に亘っての使用ができる。先ほど紹介したBeats by Dr.Dre Studio ワイヤレス オーバーイヤーヘッドフォンとは異なり、こちらは、あえて外部の音が聞こえるよう、遮音性を下げた構造を採用している。これは、外のトレーニングでの使用の際、周りの音が全く聞こえないと危険であるという配慮に基づいている。

Beats by Dr.Dre Pill 2.0 スピーカー

コンパクトなBluetoothスピーカー「Beats by Dr.Dre Pill 2.0 スピーカー」(税別20,600円)は、その見た目からは想像できないパワフルな出音が魅力のモデルだ。ワイヤレスという点で面白い機能があって、内蔵のNFCチップ部分をもう一台のBeats by Dr.Dre Pill 2.0 スピーカーと接触させると、二台のステレオスピーカーとして利用できる。単に二台のスピーカーとして使用できるという「増幅モード」も用意されているのだが、他社製品のようにアプリ経由でリンクさせるのではなく、本体のみの操作で完結するのがポイントだ。

Beats by Dr.Dre Pill 2.0 スピーカーには、本体充電用のUSBコネクタ以外に、電源供給用のUSBポートが内蔵されていて、ここから手持ちのiPhoneをフル充電することができる。また、外部オーディオの入力端子のほかに、外部出力用のオーディオ端子も搭載しており、自宅のメインのオーディオシステムと接続することで、ワイヤレスの中継機のように使うことも可能となっている。

Beats by Dr. Dre Pill XL スピーカー

ひとまわり大きいBluetoothスピーカー「Beats by Dr. Dre Pill XL スピーカー」(税別30,000円)は、バスレフポートも設置されており、クリアかつ太い音を楽しめる。ちょっと大きくなった分、携行用にハンドルも装備されている。こういったちょっとした気配りも嬉しいところだ。NFCでのペアリングや、オーディオの入出力、USBポートからのiOSデバイスへの給電機能などは、Beats by Dr.Dre Pill 2.0 スピーカーと同じだ。

Beats by Dr.Dre Pill Dudeスピーカースタンド

それと、Beats by Dr.Dre Pill 2.0 スピーカーには携行用のケース「Beats by Dr.Dre Pill スリーブケース」(税別3,780円)とスタンド「Beats by Dr.Dre Pill Dudeスピーカースタンド」(税別5,400円)というアクセサリが揃っている。特にユニークなのはBeats by Dr.Dre Pill Dudeスピーカースタンドで、ラインナップされた5タイプのキャラクターはそれぞれ表情が異なっているのだ。腕と顔は可動式でさまざまなポーズをつけられるという、遊び心溢れるアイテムだ。

Beats by Dr.Dre solo2 ワイヤレス オンイヤーヘッドフォン

最後に紹介するのは「Beats by Dr.Dre solo2 ワイヤレス オンイヤーヘッドフォン」(税別30,000円)だ。冒頭で紹介したように、MacBookやiPhone 6/6 Plus、iPad Air 2/mini 3とお揃いのカラーが最近追加された。Beats by Dr.Dre Studio ワイヤレス オーバーイヤーヘッドフォンと比べると、少しライトな感覚で使えるという印象だ。外に持ち出したくなると言うか。とはいえ、オープンエアー型のヘッドフォンとは異なり、しっかりBeats印のローが出ており、音に集中できる。高音の伸びも良い。繰り返しになるが、この辺りもオールジャンルに良い音を届けたいという想いのあらわれだろう。

iPad Air 2と並べてみた。一緒に使ってみたくなる

充電式内蔵バッテリーでの再生時間は12時間。もしバッテリーが切れた場合は付属のケーブルを利用してワイヤードで聴き続けられる。この付属ケーブルのコントローラーをはじめ、各種制御機能は、iOSデバイスとの最高のコンビネーションを実現している。

ファッションデザイナー・Alexander Wangとのコラボモデル

Beats by Dr.Dreでは、このほかに、ファッションデザイナー・Alexander Wang(アレキサンダー・ワン)とのコラボレーションによる「Beats by Dr.Dre Studio ワイヤレス オーバーイヤーヘッドフォン」と「Beats by Dr.Dre Pill 2.0 スピーカー」のセットを販売した実績がある。ゴールドカラーのこのセットは日本での販売は行われなかったが、価格はあわせて20万円以上という高額にも関わらず、あっという間に完売となった。アーティストとのコラボレーションモデルというと、日本では、藤原ヒロシとコラボレーションした「Beats by Dr.Dre Pill 2.0 スピーカー Fragment Special Edition」、Barry McGee(バリー・マッギー)とコラボレーションした「Beats by Dr. Dre x Barry McGee 2.0 Pill Speaker」の販売が行われたが、ともに売れ行きは好調のようだ。こういったモデルが人気なのも、カルチャーに鋭敏な人、デザインにこだわりを持っている人に刺さっているからこそであろう。