こんなにも先行きの見えないデバイスは初めてかもしれない……。米国時間9日、いつも通り日本時間で夜中の2時からスタートしたAppleの新製品発表イベント。4月の出荷が予定されているApple Watchの詳細が発表されることは最初からわかっていたことだったが、見る前と見た後で、Apple Watchに対する感想はまったく変わらなかった。冒頭の一文である。ライターのくせに、まったくもって、何も言っていないに等しい。

詳細が発表された「Apple Watch」

世間での反応も割れているようで、「絶対買う」という人から「こんなのいらん」という人まで様々だ。まぁ反応が様々なのはiPhoneも毎回同じなのだけど、そっちは生活に必須のスマートフォンカテゴリだから、なんだかんだで売れることはわかっている。

しかし、Apple Watchは多くのiPhoneユーザーにとって必須ではない。少なくとも現状では。Apple Watchは、「便利かもしれないが、ライフスタイルを選ぶ」製品に思える。

発表会で語られたApple Watchの主な機能は3つだ。「時計」「コミュニケーション」「フィットネス」である。ジョブズはiPod、電話、モバイルインターネットの3つの機能をひとつのデバイスにまとめ上げて世界を変えたが、Apple Watchはどうだろうか。

時計はiPhoneで確認するか、お気に入りの腕時計をつけるし、コミュニケーションはiPhoneで十分だし、フィットネスはそもそもしない。そんなユーザーをどこまで振り向かせることができるだろうか。

そんなユーザーはユーザーではないと切り捨てて、必要なユーザーにだけ届ければいいという考え方もあるかもしれない。しかし、Apple Watchがそんな小さくまとまったニッチな製品として終わっていくのは残念でもあるし、Appleには停滞して面白みがなくなりつつあるスマートフォン業界をぜひもう一度引っ掻き回してほしいという思いもある。