iPhoneアプリの栄枯盛衰はめまぐるしい。毎日のように愛用していたものも、数カ月で使わなくなったり、後発のアプリにその座を取って代わられたりする。筆者も仕事柄様々なアプリを試し、本サイト上で紹介もしてきたが、そうやってホーム画面から消えていったアプリは多い。今回は流行の波の中で一時期自分がハマった懐かしの名作アプリを振り返ってみよう。
優秀すぎたファイルビューア「GoodReader」
iPhone 3GSの頃、スマートフォンはまだ色々と不便だった。インターネットに繋がるといっても、ほとんどがパソコン向けの画面を小さくしたものでしかなく、メールはやり取りできても添付ファイルはあることを確認する程度にしかならなかった。しかし、そういった制限の多い環境が逆に開発者魂に火をつけたのか、iPhoneの可能性を見えない場所まで深く掘り起こすかのように、あの手この手で様々な発想のアプリが誕生した時代だ。
中でも「GoodReader」は仕事効率化カテゴリで常時ランキング上位をキープし、ビジネスユーザー必携のアプリとして、実用系アプリを紹介する雑誌やWebサイトでは見ないことがないほどだった。メールで届いた添付ファイルをこれで開き、iPhoneを"使いこなしている感"を心に飾ったものだ。
その後、AppleのNumbersやPagesが無料化され、書類の新規作成やiCloud経由の共有に活用し始め、MS Officeドキュメントの閲覧も徐々にこちらに移っていった。GoodReaderは注釈書き込みやテキストモード表示などPDFの扱いに特に長けたアプリだが、そこまでPDFを使い倒す機会も多くなかったために、活用の場は必然的に減ることになった。
GoodReaderは、ファイルの圧縮・解凍やクラウドストレージ関連など便利そうな機能がぎっしりで、アップデートも継続されている優秀なアプリだが、それが逆にヘビーなビジネスユーザー以外を寄せ付けない高みを築いているかのようだ。筆者にとってはホーム画面にツウで古参な風じを演出するアクセサリになっている。もったいない。