自転車乗りにとって、スマートフォンをどのように携帯するかは、永遠の課題なのだという。

"だという"と伝聞調なのは、筆者が自転車に乗らないため、そのあたりの感覚がどうもよくわからないからだ。ポケットに入れておけばいいような気もするが、とはいえハードに走るなら、そういうわけにもいかないのだろう。

自転車に乗っている間、つねに地図を確認したい場合など、いちいち立ち止まってポケットからスマートフォンを出すのはたしかに億劫だ。

そこで自転車乗りが期待を寄せるのが、iPhoneを自転車のハンドル部分に取り付けることができる専用ケースの存在である。

ちょうど、昨年末にロア・インターナショナルよりkisomo(キソモ)の「iPhone 6/iPhone 6 Plus用自転車取付型ケース ViDA(ヴィダ)ブラック」が発売されたばかり。シンプルで洗練されたデザインに雨でも安心の防滴仕様といった特長がアピールされている。これはかなり便利そうだ。

「iPhone 6/iPhone 6 Plus用自転車取付型ケース ViDA(ヴィダ)ブラック」を取り付けたところ

とはいえ、自転車乗りの目はシビアだ。果たしてこのケース、使い勝手はいかがなものだろうか。スポーツ自転車専門店「bike room sin」を経営し、自らも自転車乗りとして活動する髙田真督氏に実際に使っていただき、使用感について厳しくジャッジしていただいた。髙田氏には、最初、オフロードバイクに装着し、ハードな条件化でテストして頂いた。後に街乗り向けにロードバイクに取り付け、通勤通学での環境下ではどうなのか試してもらった。

髙田真督氏

bike room sin

――今回、「iPhone 6/iPhone 6 Plus用自転車取付型ケース ViDA(ヴィダ)ブラック」を使用していただいたわけですが、そもそも髙田さんは普段、こういったケースを使われるのでしょうか。

髙田 正直に言うと、これまでは使っていませんでした。スマートフォンが出てきた当初から、こういったケースはいろいろと出てきているのですが、使い勝手や剛性の面で問題があることも多く、個人的にあまり信頼できないと感じていたのです。

iPhone 6用。マウントとケース、ケースカバー、ベルトがセットになっている

iPhone 6 Plus用。マウント形状が異なる

――ということは、今回もかなり厳しい目でご覧いただいたということですよね。実際に使ってみていかがでしたか?

髙田 かつての自転車取付型iPhoneケースと比べると、天と地ほどの違いがありますね。もし、これがiPhone黎明期に出ていたら、価格が1万5,000円くらいしても売れたと思いますよ(笑)。

※「iPhone 6/iPhone 6 Plus用自転車取付型ケース ViDA(ヴィダ)ブラック」の価格は4,800円

ケースとしての大きさは一般的なものとそう変わらない

iPhone 6用には簡易的なスタンドも付属する

マウントからスタンドを外すのに取り出しにくい場合はドライバーなどを使ってテコの原理で開けよう

――この数年でiPhoneも進化しましたが、自転車乗り向けのiPhoneケースもかなり進化していたわけですね。

髙田 何より、このケースの最大のメリットは軽いことですよ。設計がシンプルということもあるのでしょうけど、これくらいの重量増なら気になりません。いくら剛性があっても、機能が充実していても、重いケースはそれだけでマイナスです。その点はよく考えられていると思います。

何よりも軽いことが重要だという

ケースカバーはできれば透明にしてほしいという要望も。iPhoneの輝度を下げて使っている場合など、環境によりやや見にくいことがある

付け外しが容易にできることもポイント

――丈夫かつ軽量であることが、自転車乗りにとってのiPhoneケースを選ぶ重要な条件なのですね。

髙田 そうなんです。丈夫といえば、もうひとつ感心したのが、取り付け後にiPhoneを回転することで向きを変更できる点です。このとき、回転するのはマウント部分なのですが、「カチカチ」という適度なクリック感があって、しかもガタつかないのです。かなり荒く扱ってみたのですが、ここは走行中にも勝手に動くようなこともなく、安心して使うことができましたね。

ケースをひねるとカチカチという音と共にマウントが回転し

縦と横を自由に変更できる

髙田 とはいえ、私のようにオフロードでハードに乗る身としては、課題がまだあると思います。たとえばこのiPhoneケースはスタンド部分が可動する仕様になっていて、自転車に取り付けたまま角度を変えることができます。それ自体はいいのですが、段差を走るとこのスタンド部分が動いて、わずかに角度が変わってしまうことがあるんです。

段差を走るとスタンド部分の角度が動くことがあったという

自転車乗りの立場からシビアにジャッジ

雨の日でも防滴仕様なので安心だ

――なるほど、ちょっとしたことかもしれませんが、気になるかもしれませんね。

髙田 また、iPhone 6用のケースにマウントを装着する際、押し込んだつもりが入りきっておらず、ロックできていなかったということがありました。一瞬、入った感じがするので、つい見落としてしまいがちです。もっとも、入ってしまえばきっちりロックされるので、勝手に外れることはないのは安心です。ちなみにこれ、iPhone 6とiPhone 6 Plus用でマウントの取り付け方が違いますよね?

――そうですね。iPhone 6はマウントを押し込んで固定するタイプ、iPhone 6 Plusはスライドして固定するタイプですね。

iPhone 6用はマウントを押し込んで固定

iPhone 6 Plus用はマウントをスライドさせて固定

髙田 iPhone 6は先ほど言ったような注意点があるのですが、iPhone 6 Plus用ケースのスライド式のマウントは取り付けやすく、外しやすく、さらにロックも万全と、すばらしい出来ですね。自転車乗りもiPhoneをずっとハンドルに固定しているわけではなくて、頻繁に付け外しします。それを考えると、取り外しと取り付けが簡単にできるのは大きなメリットですね。

――お話を伺っていると、オフロードで激しい乗り方をするような場合は少し不安な点もあるようですが、オンロードの街乗りで使うなら実用面で問題はないといったところでしょうか。

髙田 ええ。段差でスタンドが微妙に動いたりと、シビアに見るなら課題がゼロというわけではありませんが、街乗りなら特に問題はないと思います。先ほど言ったように、スマホ黎明期の自転車用ケースから考えると、とてつもない進歩ですよ。やっと、普通に自転車に取り付けて使えるケースが、お手軽な価格で買える時代になったんだなぁと思いましたね。

日々、自転車に接しているプロの目線で見ても、『iPhone 6/iPhone 6 Plus用自転車取付型ケース ViDA(ヴィダ)ブラック』は及第点を付けられるケースであることがわかった。

これから自転車を始めようとしている人、あるいはすでに自転車に乗っていて、まだこれといったiPhoneケースが見つかっていない人は、ぜひ検討してみてほしい。

Kisomo(キソモ)の商品をもうひとつご紹介。腕に巻くタイプの「iPhone 6/6 Plus用ケース一体型アームベルトEnergia(エナジア)」で、価格は5,600円。自転車に乗る時だけではなく、ランニングやスポーツをする人向けのアームバンド付きケース

好みの長さにカットして使う

ロック機構つきなのでiPhoneが落下することはない

3色展開

こんな風に腕に装着できるのだ