「夫が、結婚しても子どもができても子どもっぽくて困る」という女性の声は、珍しくありません。子どもができてもフィギュアやゲーム、漫画にはまり続けたり、よくわからない高価なものを買ってきたり。失敗したら素直に謝ればいいものを、小学生のような言い訳をする。そんな、大人になっても子どもな感じは、女性よりも男性に多いのではないでしょうか。どうして男性は、いつまでたっても子どもっぽいのでしょうか。
幼少期が与える影響
子どもっぽいということを精神年齢が低いという言葉に置き換えるとして、本当に男性のほうが女性よりも精神年齢が低いかというと、そんなことはないでしょう。とはいえ、「男性って子どもだな」と感じる女性が多いのも事実です。では一体、なぜ女性は男性を子どもっぽいと感じてしまうのか。逆にいえば、女性は男性よりも大人っぽいのか。そこには、幼少期の家庭環境が影響しているのではないでしょうか。幼少期にどのような環境に置かれていたかということは、その後の人生に大きな影響を与えます。例えば、乳幼児期の親子関係が、成人してからの恋愛スタイルに影響を与えたりするようにです。
そして、今回の女性が男性を子どもっぽいと感じてしまうという問題は、幼少期のジェンダーが影響していると考えられるのです。現代でも、伝統的な性役割(男らしさ・女らしさ)を無意識の中でも意識して、それを子育てに反映させることがあります。
例えば女の子の場合。「女の子なんだからお母さんのお手伝いしてね」と掃除や料理の手伝いが期待されます。つまり、女の子の場合は、「大人」とまではいわなくても、大人のように振る舞うことが期待されているわけです。そして、実際に家庭の中で女の子は幼いながらも一家の働き手として活躍します。
それに対して男の子は、一家の働き手として期待されるということはあまりなく、いつでも自由に遊ぶことができたるわけです。つまり、女性のほうが早く自立することになるといえるかもしれません。それが結果として、女性は早く"大人"になり、男性はいつまでたっても"子ども"ということにつながっているのでしょう。少年の心を持った大人なのではなく、少年のままの大人が男性なのでしょうね。
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著者プロフィール
平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理に詳しい。
現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は「化粧にみる日本文化」「黒髪と美女の日本史」(共に水曜社)など。