10月2日よりMBSでの放送を皮切りに、TBS、CBC、BS-TBSの深夜アニメイズム枠にて放送されるTVアニメで、富野由悠季監督の最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』のイベント上映最終日となった5日、東京・新宿ピカデリーにて「クリエイターズナイト」が行われた。

左から吉田健一氏、安田朗氏、形部一平氏、コヤマシゲト氏、小形尚弘氏

「クリエイターズナイト」には、キャラクターデザインの吉田健一氏、メカニカルデザインの安田朗氏と形部一平氏、デザインワークスのコヤマシゲト氏、プロデューサーのサンライズ小形尚弘氏という『G-レコ』の中核を担う5人が集結。『∀ガンダム』でキャラクターデザインを担当していた安田氏によれば、主人公のベルリ・ゼナムが搭乗するMS「G-セルフ」は、2009年のガンダム30周年で制作された『リング・オブ・ガンダム』用に考えていたものが原型。そして「あの時は、本広克行監督が『RX-78 ガンダム』が好きすぎて『新しいのはやめてくれ』と言われて実現しなかったんです。その腹いせに『コードギアス』のアレクサンダに使いました」と舞台裏を明かしている。さらに、安田氏が富野監督から誘いを受けたのは2011年のことで、サンライズの忘年会で富野監督から「安田、助けろ!」と言われたが、安田氏は「酔っ払った俺を助けろ」と思っていたという。

安田氏の1年前、2010年に富野監督から熱烈なオファーを受けたという形部氏は、SNKを経てフリーとなり、「東京ゲームショウ」のイメージイラストなど企業イラストを中心に活躍。ロボットのデザインは高校生時に描いたものが最後だったという。形部氏は、富野監督からのオファーが非通知電話のため二カ月間放置しており、最終的な連絡は自宅への電話。「奥さんが一番初めに電話を取ったんですが、普段から富野監督のすごさを語っていたため、内線を回すつもりが、焦って電話を切ってしまいました」という爆笑エピソードを語った。また形部氏は、富野監督から「シューズデザイナー」と紹介されているが、実際にはシューズのデザイン担当したことはないという衝撃の事実も明らかに。(正確にはNIKEの広告を担当)形部氏は「この会場に靴メーカーの方がいらっしゃれば、デザインのご連絡をください。後からでもデザインをすれば、嘘はついてないことになるので(笑)」と便乗してさらなる爆笑を誘い、小形氏は「富野さんは未だにインタビューで話しているとおり、"シューズをデザインしている形部さん"と思い込んでいる(笑)」と付け加えた。

吉田氏とともに初期段階から『G-レコ』の制作に関わっていたデザインワークスのコヤマ氏は、小形氏から「(吉田氏と)二人がそういった関係になったのはいつ頃からですか?」と問われ「そういった関係って、違う関係みたいじゃないですか!」とあわててつっこむ一幕も。続々と舞台裏が明かされていく中、次に話題となったのは、安田氏が富野監督を激怒させた"ある事件"だった。

去年の今頃、嵐の日に起きた事件――発端は、富野監督が最終話のシナリオを書き終えた日。安田氏によれば「別件でサンライズに呼ばれた際に『ガンダムはバリエーションがプロジェクトの規模を左右する』と言われ、それじゃあということで、スケジュールの関係で引っ込めていた7つのバックパックのアイデアを出したところ、富野監督が無口になった(笑)」という。続けて、富野監督は以前に「俺のシナリオは、メカ戦のところには空白があるからどんなものが来ても大丈夫なんだっ仰っていましてね……」と遠い目をすると、他の登壇者たちからも「言っていた」という賛同の声が上がる。

しかし、富野監督はすでにシナリオを書き上げていたことから、逆鱗に触れてしまい大激怒。さらに小形氏は、富野監督が安田氏に怒鳴った際に「後ろで雷がものすごい光っていた」と付け加え、それを安田氏は「神に就任した」と表現したため、会場はさらに大爆笑。さらに安田氏は「コアファイター」のデザイン時に「当初、僕が考えたデザインは、富野監督のオーダーを無視した形になってしまい『24時間以内に新しいデザインを上げろ!』と言われました」と明かし、「27時間位かかったんですが、許してもらえて良かった。先ほどミニチュアを見たら本当にかっこよかった」と結果的に事態が好転していることを説明した。こういった富野監督の指摘は非常に的確で、コヤマ氏が語った「グリモアの顔」やモブキャラのラフなどさまざまな部分に表れているという。

今回来場者には、『G-レコ』の初期デザイン案を集めた3枚組の「初期デザインシート」がプレゼントされるということもあり、会場は満員御礼。しかし小形氏は、ここに描かれた「スカイガンダム」を指して「間違った情報が流れておりまして。これは安田さんの『G-セルフ』初期案ではないんですよ」と最後に切り出した。

小形氏によれば、この「スカイガンダム」は、約1年前に富野由悠季監督が堺雅人と「スカパー!」のCMに出演した際、富野監督の書斎セットに本物の「G-セルフ」の画が貼られていたため、ダミーとして描かれたという。小形氏は「一年後に世に出すものをCMに出すのは無理なので、安田さんに描いてもらいました」と説明しながら、「サナリィ製」と書いてあったことも明かしている。

そのほかにも「『G-アルケイン』は変形するが本編では富野監督が忘れていて現時点で予定がない」「主人公はもともと"ベリル"だったが、監督の書き間違いで"ベルリ"になった」「ラライヤ・マンディの"マンディ"は富野監督が言い始め、視線の先にカレンダーがあり月曜日だった」「もともとは"レコンキスタ"だったが濁点がないことから"レコンギスタ"に」といったことも明かされている。特に"ベリル"と"ベルリ"の書き間違いについて富野監督は「俺が間違えるわけない。ベルリだったらベルって呼べるじゃないか」と間違いを認めないものの、こうしたことは後々になってすべて的確だった、とスタッフ陣は舌を巻いていた。

『ガンダム G のレコンギスタ』
■配信
dアニメストア
2014年9月8日(月)~9月30日(火)
■テレビ
MBS 10月2日深夜
TBS 10月3日深夜
CBC 10月3日深夜
BS-TBS 10月4日深夜
※初回放送は1時間スペシャルを予定
■パッケージ情報
『ガンダム Gのレコンギスタ』第1巻 12月25日発売
以降毎月1巻ずつ全9巻を予定

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